卵子の中には女性のDNAがあります。普通の顕微鏡ではDNAを保持している構造(紡錘体)は見えませんが、この紡錘体は偏光顕微鏡という装置を使うと見えるようになります。
まずはこちらの動画をご覧ください。始めの10秒は普通の顕微鏡(背景が明るい)なので、卵子のDNAは見えません。途中で偏光顕微鏡に変わる(背景が薄暗くなります)と、卵子の中、右下(時計方向およそ4時方向)に小さく“黒く”見えます。卵子を反時計回りに90°回して、卵子のDNAが右上(時計方向およそ2時方向)に来ると、今度は“白く”見えるようになります。動画の前半では普通の顕微鏡でDNAは見えませんが、後半では偏光顕微鏡を使うことでDNAが見えるようになります。
こちらは偏光顕微鏡だけの動画になります。卵子のDNAは1つしかなく、同じDNAが卵子の2時方向では白く、90°違いの4時方向では黒く見えることが分かります。
DNAの見え方が角度によって白↔黒に変わる理由を簡単に説明します。 卵子のDNAはシマシマ模様になっています。

これを偏光顕微鏡で見ると、シマシマの鉄格子越しに、シマシマの卵子のDNAを見ることになります。

鉄格子と卵子のDNAのシマシマが直角に交差しているとき、卵子のDNAは白く見えます。逆に、鉄格子と卵子のDNAのシマシマが同じ方向になって重なると、卵子のDNAは黒く見えます。こちらの動画でイメージを掴んでいただければと思います。
これが、DNAの角度が90°変わると白↔黒に見え方が変わる理由です。卵子のDNAを見るための偏光観察の実際と、その原理を簡単に知っていただけると嬉しいです。 紡錘体の位置や状態は、卵子の成熟度や受精の成功に関わる重要な情報です。偏光顕微鏡は、卵子の“見えない情報”を可視化するための大切な技術です。
文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 生殖補助医療管理胚培養士)
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