培養

2020.01.08

培養液の種類(1-step Mediumと2-step Medium)

前回は培養液の選定についてお話しました。今回は培養液の種類についてお話します。この培養液の種類と受精卵の発育過程の間には大きな関係があります。

受精卵の発育過程の「8細胞よりも前」と「8細胞よりも後」で受精卵が成長のために必要とされる栄養素は異なります。この栄養素をどのように配合するかにより、培養液は次の2つのタイプに分けられます 

  • 1-step Medium(Single step Mediumとも呼ばれています) 
  • 2-step Medium (Sequential Mediumとも呼ばれています) 

1-step Medium(Single step Medium)には8細胞よりも前に必要とされる栄養素が入った「前半用」と8細胞よりも後に必要とされる栄養素が入った「後半用」の「両方」の栄養素が混ざった1本で構成されています。一方、2-step Medium(Sequential Medium)には8細胞よりも前に必要とされる栄養素だけを含んだ「前半用」と、8細胞よりも後に必要とされる栄養素だけを含んだ「後半用」の2本から構成されています。尚、こちらの培養液は2種類の培養液を連続的に用いることから、「連続的」を意味するSequential Mediumとも呼ばれます。 

1-step Medium(Single step Medium)を使う場合、受精卵を最初から最後まで1種類「前半用+後半用」の培養液で培養します。一方、2-step Medium(Sequential Medium)を使う場合、8細胞期までは「前半用」培養液で培養して、8細胞期以降は「後半用」培養液で培養するため2種類の培養液を使用します。 

培養液をシャンプーとリンスに例えると(かなり強引ですが…)、1-step Medium(Single step Medium)はリンスインシャンプー1本、2-step Medium(Sequential Medium)はシャンプーとリンスの2本となります。 

1-step Medium(Single step Medium)と2-step Medium(Sequential Medium)にはそれぞれ、メリット・デメリットがあります。当院では両タイプの培養液を使用しておりますが、各々のメリットを最大限に、デメリットを最小限にするよう医師と培養士で患者様に応じて相談を行いながら使用法を工夫しております。 

この前の記事「培養液の選定」でも触れましたが、これら2タイプの培養液の使い分けについても、どの患者さんにどちらのタイプが適しているのかというベストな培養液選択が出来ればと思います。

文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 生殖補助医療管理胚培養士)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 培養液

亀田IVFクリニック幕張 生殖医療事業管理部 培養管理室 管理胚培養士

平岡 謙一郎

亀田IVFクリニック幕張 生殖補助医療管理胚培養士。広島県立大学大学院修了(博士)。体外受精の中心となる受精・培養・凍結について専門知見に基づき紹介している。

この記事をシェアする

あわせて読みたい記事

卵子の保管場所について

2023.08.05

受精卵の保管場所について

2023.07.29

培養環境(加湿型とドライ型について)

2021.02.12

体外受精に使われる培養液はどんな種類があるの?

2021.01.13

透明帯除去により胚発育が改善!?(論文紹介)

2020.05.23

培養の人気記事

卵子の大きさ

2025.03.08

精子の大きさ

2025.04.19

培養環境(論文紹介)

2020.05.29

卵子の顕微授精時の成熟判定②

2020.06.24

透明帯孵化補助では、透明帯にどんな風に穴が開いているの?

2020.12.11

動画で見る受精現象の不思議(flare現象)(動画)

2023.02.04

今月の人気記事

胎児心拍が確認できてからの流産率は? 

2021.09.13

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

2025.09.01

我が国の統計からの興味深い情報のご紹介~男性は何歳まで子供を作ることができるのか~

2023.06.03

卵子の大きさ

2025.03.08

「トリガー採卵タイミング」を延ばすと回収卵が増えるか(Reprod Med Biol. 2026)

2026.08.31