体外受精

2022.04.15

レコベル®皮下注ペンのRCTにおける周産期予後(J Assist Reprod Genet. 2021)

はじめに

世界初のヒト由来細胞株をもとに作成した新規リコンビナントFSH製剤 レコベル®皮下注ペンが国内でも販売されはじめています。同薬剤(フォリトロピンデルタ)による卵巣刺激からの周産期・新生児の転機をゴナールエフ®皮下注ペン(フォリトロピンアルファ)と比較試験を行った結果をご紹介いたします。

ポイント

レコベル®皮下注ペンとゴナールエフ®皮下注ペンを比較したRCTにおいて、累積出生率、継続妊娠率、新生児の先天異常率に有意差はなく、同等の有効性と安全性が確認されました。

引用文献

Jon Havelock et al. J Assist Reprod Genet. 2021. DOI: 10.1007/s10815-021-02271-5

論文内容

欧州および北米・南米の37の治験実施施設で2013年10月から2017年1月に実施されたフォリトロピンデルタの開発プログラムにおける2つの対照臨床試験のデータを用いて行われた無作為化対照評価者盲検試験であるEvidence-based Stimulation Trial with Human rFSH in Europe and Rest of World 1:ESTHER-1(NCT01956110)およびESTHER-2(NCT01956123)試験において、最大3回FSHアンタゴニスト法を行った1,326名2,719周期の新鮮/凍結融解胚移植周期の結果をフォリトロピンデルタ群1,012周期/341周期、フォリトロピンアルファ群1,015周期/351周期で比較しました。対象患者1,326名のうち、513名が2回目卵巣刺激を、188名が3回目卵巣刺激を行いました。

結果

累積出生率はフォリトロピンデルタ群60.3%、フォリトロピンアルファ群60.7%(-0.2%[95% CI: -5.4%; 5.0%])であり、各治療群での相対寄与率は新鮮胚移植周期が72.8%、凍結融解胚移植周期が27.2%でした。周期あたりの新鮮胚移植の継続妊娠率はフォリトロピンデルタ群32.1%、フォリトロピンアルファ群32.1%、凍結融解胚移植周期ではそれぞれ27.6%、27.8%でした。出産後4週までの新生児の先天異常は、フォリトロピンデルタ群1.6%、フォリトロピンアルファ群1.8%でした(-0.2%[95%CI: -1.9; 1.5])。

私見

レコベル®皮下注ペンは今までのFSH製剤同様の有効性・安全性を確保した薬剤であることがわかります。当薬剤の日本における治験は当院も参加しました。患者様にとって薬剤の合う、合わないがありますので、選択肢が増えることはよいことだと考えています。当院でも2022年4月より導入しており、対象患者さまを選択し適宜使用を行っています。
この論文の対象女性は女性年齢33.4±3.9歳、BMI 23.7±3.4、AFC 14.7±6.9、不妊期間35.3±24.4ヶ月、原発性不妊70.7%となっています。両方の薬剤での先天性異常は15名(10名:一箇所の奇形、5名:多発奇形)であり、最も多く報告された先天性異常は、心臓および血管の障害、ならびに腎臓および尿路の障害でした。
新しい薬剤を導入するときには、卒業したあとの予後まで把握し管理する必要があると思っています。先天異常率は決して高い数字ではないので安心して使用していこうと思います。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 総説、RCT、メタアナリシス

# ゴナドトロピン

# 卵巣刺激

# 周産期合併症

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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