体外受精

2022.06.10

社会的卵子凍結の出産予測因子は?(Fertil Steril. 2022.)

はじめに

米国ではジェンダーの多様化の理解も進んでおり、社会的卵子凍結の割合が増えてきています。では、出生につながる予測因子はあるのでしょうか。ニューヨークのクリニックの卵子凍結女性の転帰を追跡した報告をご紹介いたします。

ポイント

卵子凍結は女性年齢が若い方がよく、35歳以下での卵子凍結を推奨しています。卵子凍結時の女性年齢が38歳未満、もしくは卵子融解時の成熟卵子数が20個以上の女性では、女性あたりの累積出生率は50%以上でした。

引用文献

Sarah Druckenmiller Cascante, et al. Fertil Steril. 2022. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2022.04.013 

論文内容

ニューヨーク州の生殖医療施設で2020年12月31日以前に1回以上の卵子凍結を行った全患者を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究です。 
出生に至ったか卵子を使い切った女性を対象とし、主要評価項目は患者ごとの累積出生率、副次評価項目は検査結果や胚移植あたりの出生率としました。 

結果

543名の女性が800の卵子凍結保存、605の卵子融解、436の胚移植を受けました。 
最初の卵子凍結保存時の年齢中央値は38.3歳でした。最初の卵子凍結から卵子融解までの期間の中央値は4.2年でした。1名あたりの融解卵子数は中央値14個、成熟卵子数12個、卵子融解時の生存率79%でした。全患者のうち61%が1回以上の胚移植を受けることができました。正常受精(n=262)および非正常受精(n=158)胚における胚移植あたりの出生率それぞれ55%および31%でした。1名当たりの累積出生率は39%でした。卵子凍結時の女性年齢と融解時の成熟卵子数が出生率の予測因子でした。卵子凍結時の女性年齢が38歳未満、または融解時の成熟卵子数が20個以上の女性では、患者あたりの累積出生率は50%以上でした。卵子凍結・融解を行った女性のうち、173名(32%)が治療を完結していませんでした。

私見

彼らの研究はレトロスペクティブ・コホート研究ですのでPGTなどを全例行っているわけでもないですし、一度の融解個数なども決めていません。 
2021年7月1日までに1回以上胚移植を行った患者332名(卵子融解者の61%)であり、初回胚移植時の女性年齢中央値は42.8歳、36%が再凍結なく胚移植(2%が迅速PGTを使用)、64%が凍結して98%がPGTを実施しました。 
卵子融解後、胚移植ができなかった女性のうち、多い理由はPGT後に正倍数性胚が得られなかったこと(45%)、胚盤胞に進まなかったこと(27%)でした。 
社会的卵子凍結、少ないながらも需要が出てきています。今後、当院でも状況に応じて検討しなくてはならない議題の一つかと考えています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 出生児予後

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# 着床前遺伝学的検査(PGT)

# 卵子の評価

# 卵子凍結

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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