体外受精

2023.03.28

AMHは着床前診断正常胚の割合と無関係(レトロスペクティブ研究2023)

はじめに

AMH値は低くても不妊原因やタイミング法・人工授精法の成績とは無関係であり、卵巣刺激をおこなった際の回収卵子数とのみ強く相関します。では、採れてきた卵子の正倍数性胚割合はどうでしょうか。PGT-A、PGT-Mで比較検討した報告をご紹介いたします。 

ポイント

PGT-A(不妊症患者)またはPGT-A+PGT-M(非不妊症患者)を実施した患者コホートにおいて、AMHは胚の正常、モザイク、異数性割合と関係しませんでした。年齢別サブグループ解析においても同様の結果が確認されました。

引用文献

Yael R Stovezky, et al. Fertil Steril. 2023 Mar;119(3):444-453. doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.11.018. 

論文内容

2012年3月から2020年6月に体外受精初回周期でPGT-AまたはPGT-A+PGT-Mを実施した1,000名の患者を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究です。40歳以上の女性、新鮮胚移植を受けた患者は除外しました。評価項目として周期あたりの胚の正倍数性、モザイク、異数性割合を評価しました。 

結果

不妊症患者(n = 926)と非不妊症患者(n = 214)は、AMH値に基づいて層別化し、低AMHはボローニャ基準に従って<1.1 ng/mLとしました。年齢調整した回帰モデルでは、不妊症患者と非不妊症患者において、AMHと正倍数性、モザイク、異数性割合に関係はありませんでした。不妊症コホートでは、35歳未満、35-37歳、38-39歳のサブグループ解析においてもAMHと正倍数性率には関係はありませんでした。これらの所見は、不妊患者をAMH四分位群(-1.46 ng/mL、1.47–2.54 ng/mL、2.55–4.52 ng/mL、4.53–28.3 ng/mL)に層別化した感度分析でも差がありませんでした。

私見

A. Pipariら(Reprod Biomed Online. 2021)の報告と今回の報告は同様の結果です。相反する結果であったE.G. Jaswaら(Fertil Steril. 2021)の報告では、卵巣予備能が低い群が正倍数性率が低下するとしています。まだまだ新しい論文が出てくると思いますので注視していきたいと思います。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 着床前遺伝学的検査(PGT)

# 胚質評価

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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