はじめに
大都市圏のごく少数の生殖医療センター以外では休みなく採卵を行うことは難しく、週1-2回の休診日があることが一般的です。自然周期だと、どうしても休診日の採卵を避けることはできませんが、ロング法であれば卵巣刺激開始日を変更したり、そのほかの刺激であればホルモン剤を用いて休診日に当たらないように調整します。ただし、ピルなどを用いたとしても量・注射日数が延びたりすることもあり、過剰なホルモン製剤の前投薬は避ける方向になってきています。今回、アンタゴニスト法採卵の「理想採卵日」からの1日のずれは、どのように治療成績に影響を与えるかを調査した報告をご紹介いたします。
ポイント
GnRHアンタゴニスト周期において、「理想採卵日」から一日ずれる程度では回収卵子数、受精胚発生数はやや変化するが、新鮮胚移植の成績が変わらず、治療結果に大きな影響を及ぼさないことがわかりました。
引用文献
K P Tremellen, et al. Hum Reprod. 2010 May;25(5):1219-24. doi: 10.1093/humrep/deq059.
論文内容
土曜または日曜の採卵を避けるために、「理想採卵日」から1日進める、または1日遅らせることが、体外受精成績に影響を与えるかどうかを調べるために2008年オーストラリアで行われたレトロスペクティブコホート研究です。ホルモン剤の前投薬を行わない42歳以下の女性におけるGnRHアンタゴニスト法1,642周期を対象とし、金曜採卵(金曜日が理想、土曜日が理想で1日早めた採卵)、月曜採卵(月曜日が理想、日曜日が理想で1日遅らせた採卵)、火曜から木曜日採卵を対照群としました。
結果
「理想採卵日」から1日早めると、回収卵子数および受精胚発生数はわずかですが減少しました。「理想採卵日」から1日遅らせると、回収卵子数および受精胚発生数はわずかですが増加しました。新鮮胚移植の出生率には差を認めませんでした。
私見
この検討は卵巣予備能低下症例の検証ではなく、38歳前後で9個程度の回収卵子数が見込める場合の検証です。症例ごとのOHSSリスクや発育卵胞のばらつきにより状況は異なると思いますが、概ね1日のずれは問題ないことがわかりますね。
迷ったら1日遅らせる方が回収卵子数、受精胚発生数は増加することは参考になりました。
卵巣刺激前のホルモン前処置は治療効率への影響(ESHRE guideline 2025年版アップデート)
文責:川井清考(WFC group CEO)
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