体外受精

2023.08.23

double stimulationの予想回収卵子数はAMHで予想可能(Hum Reprod. 2023)

はじめに

DuoStim(double stimulation)は月経1周期に2回採卵を行う方法です。
卵巣予備能が低下している方は、回収卵子数が増加するに伴い累積出生率が上昇することがわかっていますので、一度に多く回収卵子数がとれない方にはdouble stimulationが有効なのではないか?という議論が以前よりされていました。ただし、double stimulationによってどれくらい効率が増加するか不明な点がありましたので、AMHでdouble stimulation後の回収卵子数が予想できるかどうか調査した報告をご紹介いたします。 

ポイント

回収卵子数が少ない女性に対してdouble stimulationの予想回収卵子数はAMHである程度予想がつくことがわかりました。 

引用論文

A La Marca, et al. Hum Reprod. 2023 Jul 20;dead148. doi: 10.1093/humrep/dead148. 

論文紹介

double stimulation後の回収卵子数の予測におけるAMHが役立つかどうかを調査することを目的としました。2021年1月から2022年9月にdouble stimulationを実施した116名を対象としたレトロスペクティブコホート研究です。主要評価項目は、3ヶ月以内のAMH値とdouble stimulation後に採取された卵子数との相関としました。 

結果

AMHはdouble stimulationでの回収卵子数と相関していました(R 0.61; CI 0.44-0.70; P < 0.0001)。1回目の刺激(中央値: 4個、IQR: 2-6個)と2回目の刺激(中央値: 6個、IQR: 3.2-8個)で2回目の刺激の方が回収卵子数は増加しましたが、成熟卵子数には差がありませんでした。1回目の刺激後、患者の68%が少なくとも1個の有効胚盤胞を獲得できましたが、2回目の刺激後では74%が少なくとも1個の有効胚盤胞を獲得できました。線形回帰分析から、AMHが0.25ng/ml増加するごとに、両方の刺激終了時に回収された卵子が1個追加されることが推測されます(R2: 0.32、P < 0.0001、double stimulation後の回収卵子数; y =6.28+3.9 ×AMH)。 

 中央値 25%ile 75%ile 
初回採卵 回収卵子数(個) 
成熟卵子数(個) 
成熟率(%) 80 50 100 
正常受精数(個) 
正常受精率(%) 75 50 75 
胚盤胞到達率/患者(個) 
Duostim 
(2回目採卵) 
回収卵子数(個) 3.2 
成熟卵子数(個) 
成熟率(%) 85 66 100 
正常受精数(個) 
正常受精率(%) 66.7 50 83 
胚盤胞到達率/患者(個) 

私見

卵巣予備能低下の患者に対してdouble stimulationが有効かもしれません。
費用対効果の観点から、がん・生殖の患者に限って行ってきましたが今後見直しも検討していきたいと思います。
この報告ではAMH 1.23±0.95ng/mL、平均年齢38.48±4.65歳を対象としていて、卵巣刺激はFSH300単位GnRHアゴニストトリガーのGnRHアンタゴニスト法を採用し、double stimulationは初回採卵の5日後から開始しています。 

<関連記事> 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胚盤胞

# 卵巣刺激

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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