体外受精

2023.12.07

早発卵巣不全(POI/POF)、早発卵巣不全(POI/POF)、卵巣予備能低下(DOR)

はじめに

卵巣予備能低下(DOR:diminished ovarian reserve)、早発卵巣不全(POI:Premature Ovarian Insufficiency、POF:Premature Ovarian Failure)、卵巣反応不良(POR:poor ovarian response)は混同されて使われることが多くあります。これは明確な定義が定まっていないことが原因です。それぞれ使い方が異なりますので、以下に簡単に記載します。 

ポイント

早発卵巣不全(POI/POF)、卵巣反応不良(POR)、卵巣予備能低下(DOR)は混同されやすい概念です。本記事では診断基準や考え方の違いを整理し、適切な理解と臨床での使い分けを解説しました。 

論文内容

早発卵巣不全(POI/POF) 
血中FSH値高値(40IU/L以上)、3ヵ月以上の続発性無月経、40歳未満という3つの特徴によって診断されることが一般的です。早発閉経とは異なり、排卵がみられる場合があることを考慮すると、POIの用語を使用することが多いようです。 
Eric Scott Sills, Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2009 Sep;146(1):30-6. doi: 10.1016/j.ejogrb.2009.05.008. 
Amber R Cooper, et al. Fertil Steril. 2011 May;95(6):1890-7. doi: 10.1016/j.fertnstert.2010.01.016. 

卵巣反応不良(POR) 
現在の主流は「Bologna基準」と「POSEIDON基準」です。 

① Bologna基準 
A P Ferraretti, et al. Hum Reprod. 2011 Jul;26(7):1616-24. doi: 10.1093/humrep/der092. 
(A) 40歳以上、あるいは他のPORリスク因子(ターナー症候群、FMR1遺伝子変異、卵巣手術既往、抗がん剤治療後など) 
(B) 標準的な卵巣刺激において3個以下の回収卵子数 
(C) AMH <0.5~1.1 ng/mL、あるいはAFC(胞状卵胞数)<5~7個 
→ 少なくとも2項目を満たすもの 

② POSEIDON基準(Patient-Oriented Strategies Encompassing IndividualizeD Oocyte Number) 
Carlo Alviggi, et al. Fertil Steril. 2016 Jun;105(6):1452-3. doi: 10.1016/j.fertnstert.2016.02.005. 

  • 第1群:35歳未満で、刺激前卵巣予備能が十分あり(AFC≧5、AMH≧1.2ng/mL)、予期せぬ卵巣反応が不良である患者 
  • 第2群:35歳以上で、刺激前卵巣予備能が十分あり(AFC≧5、AMH≧1.2ng/mL)、予期せぬ卵巣反応が不良である患者 
  • 第3群:35歳未満で、刺激前卵巣予備能が低い患者(AFC<5、AMH<1.2ng/mL) 
  • 第4群:35歳以上で、卵巣予備能が低い患者(AFC<5、AMH<1.2ng/mL) 

卵巣予備能低下(DOR) 
明確な診断基準はありません。早発卵巣不全(POI/POF)は含めないとする考え方が一般的です。 卵巣反応不良(POR)の定義から、AFC 5〜7個、AMH 1.1〜1.2 ng/mLをカットオフとして用いられることが多いです。 
J Cohen, et al. J Assist Reprod Genet. 2015 Dec;32(12):1709-12. doi: 10.1007/s10815-015-0595-y.
Lisa M Pastore, et al. J Assist Reprod Genet. 2018 Jan;35(1):17-23. doi: 10.1007/s10815-017-1058-4.

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 早発卵巣不全

# 胞状卵胞数(AFC)

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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