体外受精

2024.04.03

フォリトロピンデルタの使用実情(Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2024)

はじめに

フォリトロピンデルタ(レコベル®)はヒト由来リコンビナントFSH製剤として国内でも使用経験が蓄積されつつあります。AMH値および体重の2つの因子を用いて、至適目標採卵数を”8個から14個”と設定した個別投与量アルゴリズムがあることが特徴です。STORK試験の結果では、169症例でみると個別アルゴリズムを用いると、4個未満 8.3%、4-7個 36.1%、8-14個 40.8%、15-19個 10.1%、20個以上 4.7%となっていて、的中率は4割程度、外れる場合は回収卵子が少ない方に外れることが多いです。では、使っている人はどのような使用法をしているのでしょうか。フランスでの使用実情をご紹介いたします。 

ポイント

フランスでは日本での最大投与量(12μg/day)前後の使用が多いことがわかりました。 

引用文献

Géraldine Porcu-Buisson, et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2024 Feb:293:21-26. doi: 10.1016/j.ejogrb.2023.12.011. 

論文内容

日常臨床でフォリトロピンデルタを体外受精に使用した場合の実情・有効性・安全性プロファイルについて、1周期後に検討する使用実態調査です。
2020年6月から2021年6月にフランス14施設で実施された多施設共同前向き観察研究です。248名を対象とし、最初の新鮮胚移植または凍結融解胚移植後10~11週まで追跡しました。評価項目は、投与アルゴリズムの使用割合、投与パターン、卵巣反応、妊娠、日常臨床における副作用としました。 

結果 

解析可能だったのは223症例で、平均年齢33.0±4.4歳、体重65.7±11.8kg、AMH値中央値は2.6(1.5-4.0)ng/mLでした。193名(86.5%)は初回体外受精周期、30名(13.5%)は2回目でした。88.3%はアルゴリズム通り使用していました。フォリトロピンデルタの1日平均開始用量は、11.4±4.1μgであり、アルゴリズムを使用せずに投与された女性の開始用量は14.4±5.2μgでした。フォリトロピンデルタによる卵巣刺激期間平均は10.8±5.2日、平均総用量は122.2±80.0μgでした。90.3%でアンタゴニスト法が使用されていました。平均回収卵数±SDは11.3±6.8個であり、46.1%の患者が8-14個の採卵というアルゴリズムの目標反応を達成していました。新鮮胚移植は77.6%の患者で実施されました。移植胚数の平均±SDは1.3±0.5個で、着床率(胎嚢/移植胚数)は36.0%でした。周期あたりの臨床妊娠率は35.0%、継続妊娠率は29.6%でした。合計5症例(2.2%)でOHSSが報告されました。 

私見

この実態調査では日本での最大投与量(12μg/day)前後の投与を行なっている中で、4個未満 8.7%、4-7個 22.8%、8-14個 46.1%、15-19個 9.2%、20個以上 13.1%となりました。卵巣予備能別にみると、AMH <1ng/mL 6.2個、1-2ng/mL 9.5個、2.1-4.9ng/mL 12.6個、>4.9ng/mL 14.7個となっていて、しっかりめに投与すれば卵巣反応不良は軽減されそうです。またアゴニストプロトコールの方が取れる数が少なめなのも何か治療のヒントかなと感じています(8.5個 vs. 11.4個)。 

メーカーの患者向けパンフレット
レコベル®皮下注ペンを使用される方へ – Find FERRING 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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# 卵巣刺激

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WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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