プレコンセプションケア

2024.10.02

続発性無月経のASRM committee opinion 2024

はじめに

無月経は初潮前・後で原発性無月経・続発性無月経と分類します。無月経の定義は、定期的に月経がきている女性では3ヶ月月経が来ない場合、不定期な月経である女性では6ヶ月と定義されています。 今回は続発性無月経に焦点をあてて取り上げさせていただきます。 

ポイント

・原発性無月経と続発性無月経の原因のほとんどは類似している。
・ほとんどの原因は6つに分類される(PCOS、甲状腺障害、高プロラクチン血症、低ゴナドトロピン性および高ゴナドトロピン性性腺機能低下症、解剖学的異常)。
・無月経のほとんどの原因は、病歴、身体所見、血清FSHとエストラジオールの測定で分類できる。
・無月経を呈する女性では、妊娠を除外し、血清プロラクチンとTSHを測定する。
・身体診察は原発性無月経の評価において重要であるが、続発性無月経では身体検査のみでは診断的有用性が低い。  

引用文献

Current evaluation of amenorrhea: a committee opinion 
Fertil Steril. 2024 Jul;122(1):52-61.  doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.02.001. 

論文紹介

続発性無月経の鑑別診断では、妊娠の可能性を第一に考えなければいけません。定期的な月経があるかたは1週間でも遅れると妊娠を疑う必要があります。 

・病歴は普段の月経パターンの聴取は必要で、急に起こったか、過去にも同様のことが起こったことがあるかなどとなります。急激な体重変化、内服されている薬剤(精神疾患など)、子宮内手術既往、分娩既往なども重要な項目となります。 

・摂食障害・過度の運動、子宮内器具を挿入していないかどうかも併せて聞いておきましょう。 

・身体診察として、BMI、血圧、乳汁分泌がないかどうかを確認します。甲状腺疾患、臨床的アンドロゲン過剰症、クッシング症候群を疑う症状をチェックする必要があります。 

臨床検査

妊娠検査をまず試します。尿中検査で判断がつかない場合は血清hCG検査を測定します。そのうえで、血清FSH、LH、E2を測定して大まかな無月経の種類を分類していきます。 

AMHは卵巣予備能の信頼できる指標です。PCOSの場合は高値となりますし、感度以下の場合、早発卵巣機能不全・閉経を疑います。必ず測定が必要というわけではありません。 

高プロラクチン血症は続発性無月経の原因になります。不妊症のルーチン検査には含まれていませんが、血清PRLを測定することは続発性無月経では大事です。高プロラクチン血症の場合、マクロプロラクチン血症は続発性無月経の原因とはならないため除外することも大事です。 

甲状腺検査としてTSHは必須項目です。fT3/fT4は疑う疾患によって測定が必要となることがあります。潜在性甲状腺機能低下症のような軽度の甲状腺機能異常は、他の病態と共存することがあるため、甲状腺異常が認めたからといって他の続発性無月経の原因がないわけではありません。 

臨床的アンドロゲン過剰症を疑う症状がある場合はテストステロン(総量および遊離)およびDHEASの血清レベル測定を検討する必要があります。21-水酸化酵素欠損症は17OHPにてスクリーニングを行います。 

画像検査 

一番は経腟的超音波検査です。有用な情報判断が複数行うことが可能です。 
その他はMRI検査を考慮することがあります。高プロラクチン血症の症例の50~60%において下垂体腺腫が同定されること、そのほかの非機能性腺腫でもまれにプロラクチン値の軽度上昇を引き起こすことがあるからです。 

頻度
視床下部 機能性 
炎症性・浸潤性 
感染 
腫瘍 
放射線 
外傷性 
35% 
下垂体前葉 高プロラクチン血症 
下垂体腫瘍 
下垂体梗塞 
空間占拠性病変 
炎症性・浸潤 
放射線・手術 
感染 
17% 
卵巣 PCOS 
POI 
卵巣腫瘍 
閉経 
40% 
生殖器流出路・子宮 子宮頸部狭窄症 
子宮内避妊具 
7% 
その他慢性無排卵症 
甲状腺疾患 
副腎疾患 
薬物療法 
1% 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 月経異常

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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