一般不妊

2020.08.12

35歳以上の女性が自然妊娠する確率は?その1(Hum Reprod, 2020)

はじめに

女性の年齢上昇に伴い妊娠率の低下が生じますが、日本を含めた先進国の現在の傾向としては、女性の望まれない妊娠の回避、教育レベルの向上、仕事への積極的な参加等から結婚年齢、出産年齢が遅れるようになってきています。日本の女性の第一子出産年齢は2019年で30.7歳となり、年々高くなってきています。
妊娠を望む場合、カップルにとっては自然妊娠で授かることが好ましいことが多いですが、妊娠しないまま時間が流れ女性の年齢が上がることで、体外受精に移行した場合の妊娠率も低下し、将来児を授かれない確率が上昇します。自然妊娠の割合は2000年前半までの報告がほとんどで不妊原因などもかわってきています。女性の年齢が高い場合の自然妊娠の割合はどの程度なのでしょうか。システマティックレビューを紹介いたします。

ポイント

35歳以上の女性における自然妊娠率は年齢上昇とともに低下しますが、原因不明不妊の37歳女性でも6ヶ月で15%、12ヶ月で24%の妊娠可能性があることが示されました。

引用文献

S.J. Chua, et al. Hum Reprod, 2020. DOI:10.1093/humrep/deaa129

論文内容

2018年7月1日まで「fertility service」、「waiting list」、「治療に依存しない」、「自然妊娠」をPubMed、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Libraryにて検索し9件の研究(7件のコホート研究と2件のRCT)を対象としたシステマティックレビュー(研究の質:中等度から高水準)です。35歳以上の女性4379名の年齢による妊娠・出産への影響を評価しました。
女性の年齢中央値は37.3歳(25~75%中央値36.1~38.9歳)、40歳以上の女性のデータは531名とほとんどありませんでした。不妊期間の中央値は2.4年(25~75%比1.5~4.0年)であり、2367名(54%)が原発性不妊でした。原因不明不妊が51.0%と最も多く、次いで男性因子(21.2%)、卵管因子(15.2%)、排卵障害(3.8%)、子宮内膜症(3.4%)、免疫因子(1.3%)となっています。薬を使わない自然妊娠を見る報告を集めているため、重度の男性因子・排卵障害症例は除外されていました。

結果

妊娠(20週以降)もしくは出産につながる自然妊娠は429件(9.8%)でした。原因不明不妊と比較して不妊原因(男性因子・卵管因子・排卵障害・子宮内膜症・免疫因子)が見つかった場合、自然妊娠の確率は低下しました。免疫因子を除いて妊娠をトライする期間が延びる(6ヶ月→12ヶ月)ほど、妊娠に至る自然妊娠の確率が増加しました。
女性の年齢と不妊期間が妊娠に及ぼす影響は非線形でした。原発性不妊の期間が2年の35歳女性の場合、妊娠(20週以降)もしくは出産につながる自然妊娠の予測確率は、6ヵ月後に15%(95%CI 0.11-0.19)、12ヵ月後に24%(95%CI 0.17-0.30)でした。42歳女性では、6ヵ月後に8%(95%CI 0.04-0.11)、12ヵ月後に13%(95%CI 0.07-0.18)まで減少しました。女性の年齢上昇、不妊原因があれば妊娠率は低下することと同時に、年齢が高くても自然妊娠できないわけではないことを患者様に伝えることが必要としています。

私見

この論文では原因がない37歳前後の不妊女性の自然妊娠の割合は6ヶ月以内に13.3%、12ヶ月以内に21.9%としています。ただし、不妊原因があると低下しますし年齢が上がると更に低下していきます。
この論文を通して私たち生殖医療従事者は、「35歳を超える女性に関しては不妊原因を精査し、その上で自然妊娠できる可能性、そして体外受精に進んだ場合の妊娠の可能性などを適切に伝えていく必要がある」と思っています。

女性年齢・不妊期間・原発性/続発性不妊により6ヶ月後/12ヶ月後に妊娠している予測割合を示していますので、別コラムに紹介させていただきます。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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