プレコンセプションケア

2022.06.04

プレコンセプションケアは過体重女性で効果的(Hum Reprod. 2017)

はじめに

プレコンセプションケアでのアドバイスは効果あるの?( Cochrane Database Syst Rev. 2021) 」をご紹介したときに、妊娠前へのライフスタイルへの介入はほとんど意味がないという結果でした。ただし、体重に関しては軽度の改善を見込めるという結果でした。
プレコンセプションケアでの生活習慣への介入を考えるとき、効果的な対象群は誰なのか報告を調べていたところ、このシステマティックレビュー・メタアナリシスに辿り着きました。この報告は妊娠前のライフスタイルへの介入は身体所見・妊娠率・周産期結果にどのように影響を与えるか?と検討したものです。 

ポイント

生活習慣への介入(食事制限と運動習慣推奨)は、過体重・肥満女性の体重減少や自然妊娠率の増加には効果的であったが、ART妊娠やその他の周産期結果には影響を与えなかった。 

引用論文

L Lan, et al. Hum Reprod. 2017. DOI: 10.1093/humrep/dex241. 

論文紹介

「妊娠前のライフスタイル」に関するキーワードをOvid MEDLINE(R), EBM Reviews, PsycINFO, EMBASE, CINAHL Plusにて2017年1月10日までに検索を実施しました。
妊娠を希望する生殖年齢の妊娠していない女性もしくは男性パートナーとしました。除外基準はBMI<18の女性、動物実験、片方または両方のパートナーに遺伝性疾患がある場合、アルコールまたは喫煙の中止・減量や微量栄養素の補充、糖尿病コントロールのみに焦点を当てた試験としました。身体測定、妊娠可能性、周産期もしくは新生児の転帰を評価しました。 

結果 

1,802件の論文がヒットし8件の研究が解析に含まれました。対象となった集団は不妊治療を希望する過体重または肥満の不妊症の女性でした。メタアナリシスでは、介入により大きな体重減少(n = 3, P < 0.00001, 平均差:-3.48 kg, 95% CI: -4.29〜 -2.67, I2 = 0%)、BMI減少(n = 2, P < 0.00001, 平均差:-1.40、95%CI:-1.95〜 -0.84、I2 = 24%)、自然妊娠率の増加(n = 2、P = 0.003、オッズ比:1.87、CI:1.24〜 2.81、I2 = 0%)を認めました(Moran L, et al. Aust NZ J Obstet Gynaecol 2011. Sim KA, et al. Clin Obes 2014. Mutsaerts MAQ, et al. N Engl J Med 2016.)。
ART有害事象、臨床妊娠、妊娠合併症、分娩合併症、出生率、早産、出生時体重、新生児死亡率、不安については差が認められませんでした。 

私見

以前ご紹介したコクランレビューでも同じような傾向です。今回の対象に関しては過体重・肥満女性としたため体重・BMIに明確な変化が出たのだと思います。妊娠に対する正しい啓発を行うことは有益なことだと認識しています。
文頭でご紹介したコラム「プレコンセプションケアでのアドバイスは効果あるの?(論文紹介)」より抜粋 

体重に関する妊娠前の行動変化:影響不明  
出生数(RR 0.94、95%CI 0.62~1.43;RCT 2件、707人)  
妊娠糖尿病などの有害事象(RR 0.78, 95% CI 0.48 to 1.26; 1 RCT, 317人)  
高血圧(RR 1.07、95%CI 0.66~1.75;1 RCT、317人)  
流産(RR 1.50、95%CI 0.95~2.37;1 RCT、577人)  
BMIわずかに減少(MD -1.30 kg/m2, 95% CI -1.58 t~ -1.02; 1 RCT、574人) 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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