体外受精

2023.06.01

卵巣刺激低反応群(Bologna/POSEIDON)の正常胚が含まれている割合を比較(Fertil Steril. 2023)

はじめに

卵巣刺激反応不良群で、Bologna基準およびPOSEIDON基準のどちらが、その後の予後を反映するのでしょうか。

POSEIDON基準 (すべての基準を満たさなければ認定されず、それ以外は非POR): 

  • I群(若年者、予期せぬPOR) 35歳未満、AMH≧1.2ng/mL or AFC≧5だが、前周期MIIが10個未満回収 
  • II群(高齢、予期せぬPOR) 35歳以上、AMH≧1.2ng/mL or AFC≧5だが、前周期MIIが10個未満回収 
  • III群(若年層、予想されるPOR) 35歳未満、AMH<1.2ng/mL or AFC<5 
  • IV群(高齢、予想POR) 35歳以上、AMH<1.2ng/mL or AFC<5 

Bologna基準 (3基準のうち2つ以上、最大ゴナドトロピン投与によるキャンセルサイクルが過去2回あること、それ以外は非POR): 

  • 40歳以上、AMH < 0.5 – 1.1 ng/mL or AFC < 5 – 7、前周期MIIが4個未満回収 (今回の検討ではAMH 1.1ng/mL と AFC 5を採用) 

ポイント

Bologna基準とPOSEIDON基準で予測される卵巣応答低下(POR)と、少なくとも1個の正常胚を獲得できる割合はI群>>II群>III群>IV群>Bologna基準PORの順に低下していくことがわかりました。

引用文献

Andres Reig, et al. Fertil Steril. 2023. doi:10.1016/j.fertnstert.2023.05.007

論文内容

Bologna基準およびPOSEIDON基準で診断した周期別に少なくとも1個の正常胚を獲得できる割合を調査したレトロスペクティブ・コホート研究です。 少なくとも1個の正常胚盤胞を獲得できた採卵周期割合を主要評価項目としMII卵子、受精胚、胚盤胞、正常胚盤胞数、胚コホートあたりの正常胚率も調査しました。 結果 6,889周期を対象とし、3,653周期(53.0%)がPOSEIDON基準によりPORと分類されました:I群1.5%(100/6,889)、II群3.2%(222/6,889)、III群11.9%(817/6,889)、IV群36.5%(2,514/6,889)。Bologna基準では、23.4%(1,612/6,889)がPORと分類されました。I群は、PORと判定されなかった周期(91.9%, 95%CI: 90.9-92.8%, p = 0.09)と同様に少なくとも1個の正常胚を獲得できていましたが、それ以外はPOSEIDON群ごとに低下しました(II群:77.9%, 72.0-82.9%; III群: 70.5%, 67.3-73.5%; IV群: 44.8%, 42.9-46.7%; p < 0.0001)、Bologna基準を満たすPORが最も低くなりました(31.9%, 29.7-34.3%; p < 0.0001)。正常胚が含まれている周期割合は卵巣予備能と相関があり、胚あたりの正常胚率は年齢と相関しました。

私見

同様の内容はコラムにアップしています。

この報告の面白いところはResultsです

Bologna基準およびPOSEIDON基準の重なり合い

  • POSEIDON I群、II群とBologna基準POR重複せず。
  • POSEIDON III群、IV群の多くはBologna基準POR。
  • Bologna基準PORは全てPOSEIDON III群、IV群(III群10.8%、IV群89.2%)

PORの一貫性

今回の体外受精周期は4,928名の採卵回数は3,547名(72.0%)が1周期のみでしたが、他は2周期以上治療を行いました。1,961回の引き続き行われた治療周期のうち、POSEIDON基準1,628周期(83.0%)とBologna基準1,695周期(86.4%)が同じPOR基準でした。
変化した群はPOSEIDON基準では、155/333(46.5%)が予後良好群に、178/333例(53.5%)が予後不良群に変化しました。Bologna基準では、36/266(13.5%)がPORから非PORに、230/266(86.5%)が非PORからPORに変化しました。

Bologna基準のほうがより厳格な基準と考えられますね。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 着床前遺伝学的検査(PGT)

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WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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