体外受精

2024.02.27

中等度以上のOHSS予防(ASRM guideline2023)

はじめに

ASRM OHSS予防のガイドラインが2016年から改訂されました。推奨のみ記載いたします。
OHSSリスク因子として、PCOS、OHSS既往、AFC >24、AMH >3.4 ng/mL、トリガー時の10mm以上の発育卵胞>17個 、トリガー時のエストラジオール高値 (>3,500 pg/mL)、回収卵子数>15 個が挙げられています。

引用文献

Fertil Steril. 2024 Feb;121(2):230-245.  doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.11.013. 

論文内容

  • AMH値が高い女性、PCOS女性、回収卵子数が多いと予想される女性には、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)リスクが高いことを診療情報提供すべきである。OHSSリスクを低下させるための介入は、この集団に行うべきである。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • OHSSリスクが高いと判断される場合、GnRHアゴニスト法よりGnRHアンタゴニスト法が推奨される。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • OHSSリスクを低下させるために、個々の卵巣予備能に応じてゴナドトロピン量を投与することが推奨される。
    (エビデンスの強さ:B;推奨度:中等度)
  • OHSSリスクを低下させるために、ゴナドトロピン開始用量を下げること、および/または経口排卵誘発薬(クエン酸クロミフェンおよび/またはレトロゾール)を用いることが推奨される。
    (エビデンスの強さ:B;推奨度:中等度)
  • コースティングは中等度以上のOHSSリスクを低下させる主要方法としては推奨されない。しかしOHSSリスクを低下させるために他のより効果的な方法が利用できない場合は、カベルゴリンおよび全胚凍結と組み合わせたコースティングがリスク低下する可能性がある。
    (エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)
  • 中等度以上のOHSSリスクを低下するための第一選択として、GnRHアゴニストトリガーが推奨される。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • GnRHアゴニストトリガーを使用し、新鮮胚移植を予定する場合は、十分な黄体補充が推奨される。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • hCGトリガーとして、中等度以上の OHSS リスクを低下させる方法として、用量を減らすことは推奨されない。
    (エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)
  • 中等度以上のOHSSリスクがある患者では、hCGトリガー当日またはその後すぐにカベルゴリンなどのドパミンアゴニストを開始し、数日間継続することが推奨される。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • 中等度以上のOHSSリスクを低下させるための方法として、レトロゾールを投与することは推奨されない。
    (エビデンスの強さ:B;推奨度:中等度)
  • 中等度以上の OHSSリスク を低下させるために、黄体期の GnRH アンタゴニストの単独投与は推奨されない。
    (エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)
  • OHSSを低下させる主要方法としてアスピリンは推奨されない。
    (エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)
  • ほとんどの研究では、メトホルミンを投与されたPCOS女性 におけるOHSSの低下を認めていないため、 GnRHアンタゴニスト法におけるOHSSの低下のみを目的としたメトホルミンを投与することは推奨されない。しかしながら、メトホルミンは、GnRHアゴニスト法を行うPCOS女性におけるOHSSリスク低下のために考慮されうる。
    (エビデンスの強さ:B;推奨度:中等度)
  • ミフェプリストン、ミオイノシトール、D-チロイノシトール、グルココルチコイドのような薬剤をOHSSリスク低下のために投与することは推奨されない。(エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)
  • 高卵巣反応または血清エストラジオール値高値にてOHSSリスクが高い女性では、全胚凍結が推奨される。
    (エビデンスの強さ:A;推奨度:強)
  • 中等度以上のOHSSリスクが高い女性では、アルブミン、ヒドロキシエチルデスターチ、マンニトールなどのvolume expanderを使用することは推奨されない。(エビデンスの強さ:C;推奨度:弱)

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# OHSS

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

この記事をシェアする

あわせて読みたい記事

1回の採卵から2人の出生:one-and-doneアプローチ(Fertil Steril. 2026)

2026.03.16

プロバイオティクス・微量栄養素サプリメントと採卵成績の関連(J Assist Reprod Genet. 2025)

2026.03.10

PCOS女性におけるIVF前経腟的卵巣穿刺術の有用性(J Assist Reprod Genet. 2026)

2026.03.04

hCGトリガー日LH値とIVF周期における累積出生率(J Assist Reprod Genet. 2025)

2026.03.03

EFS予防におけるGnRHaトリガー後ホルモン測定の有用性(J Assist Reprod Genet. 2025)

2026.03.02

体外受精の人気記事

SEET法は凍結融解胚移植の成績を悪化させる可能性あり?(Sci Rep. 2025)

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

凍結融解胚盤胞移植後7-11日目の血清hCG値出生予測(F S Rep. 2025)

自然周期採卵における採卵時適正卵胞サイズ(Frontiers in Endocrinology. 2022)

高齢女性における二個胚移植の臨床結果(当院関連報告)

ART不成功におけるタクロリムス治療(J Reprod Immunol. 2026)

今月の人気記事

胎児心拍が確認できてからの流産率は? 

2021.09.13

SEET法は凍結融解胚移植の成績を悪化させる可能性あり?(Sci Rep. 2025)

2026.03.30

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

2025.09.01

体外受精児や人工授精児と自然妊娠兄弟の出生時特性の比較(Fertil Steril. 2026)

2026.04.01

我が国の統計からの興味深い情報のご紹介~男性は何歳まで子供を作ることができるのか~

2023.06.03

凍結融解胚盤胞移植後7-11日目の血清hCG値出生予測(F S Rep. 2025)

2026.01.23