体外受精

2023.03.08

自然周期/レトロゾール周期採卵における分割期新鮮胚移植成績(F S Rep. 2022)

はじめに

海外では調節卵巣刺激が主流ですので、内服のみの卵巣刺激での体外受精予後のデータはあまりありません。自然周期/レトロゾール周期採卵における分割期新鮮胚移植成績を調査したビッグデータをご紹介いたします。 

ポイント

自然周期とレトロゾール周期新鮮胚移植において、周産期合併症、在胎週数、出生時体重、SGA児、LGA児、先天性異常に差を認めませんでした。

引用文献

Kazumi Takeshima, et al. F S Rep. 2022 Mar 6;3(2):138-144. doi: 10.1016/j.xfre.2022.03.001. 

論文内容

2008年1月から2017年12月に都内クリニックにおいて新鮮初期胚移植時に自然周期とレトロゾール周期での生殖医療結果、周産期予後を比較したレトロスペクティブ・コホート研究です。自然周期とレトロゾール周期における採卵を実施し、採卵後2(3)日目に新鮮胚移植を実施しました。黄体補充はジドロゲステロン30mg/日を行っています。評価項目は周産期合併症と先天性異常としました。 

結果

自然周期とレトロゾール周期新鮮胚移植において、周産期合併症、在胎週数、出生時体重、SGA児、LGA児、先天性異常に差を認めませんでした。女性年齢、BMI、不妊原因、2cell割球数とグレード、移植日の子宮内膜厚、胎児性別で多変量解析を実施した95% CIは以下の通りです。HDP 95% CI 0.896 (0.464–1.732)、妊娠糖尿病 95% CI 0.966 (0.459–2.032)、HELLP症候群 95% CI 1.365 (0.112–16.598)、前期破水 95% CI 0.869 (0.085–8.832)、低置胎盤 95% CI 0.510 (0.060–4.325)、前置胎盤95% CI 0.223 (0.038–1.300)、常位胎盤早期剥離 95% CI 1.442 (0.249–8.369)、帝王切開率 95% CI 0.778 (0.595–1.018)、早産 95% CI 1.299 (0.815–2.068)、低出生体重児 95% CI 1.217 (0.818–1.807)、SGA児 95% CI 1.373 (0.863–2.185)、LGA児95% CI 3.817 (0.244–32.418)、Birth defect 95% CI 1.255 (0.706–2.232)。 

私見

この報告は都内大手クリニックの10年間のデータの集積です。自然周期採卵新鮮胚移植群10,274周期(女性年齢36.2歳)、レトロゾール周期採卵新鮮胚移植群1,323周期(女性年齢33.1歳)のデータで臨床妊娠率はそれぞれ40.4%、50.5%でした。周産期予後比較は自然周期採卵新鮮胚移植群2,847名(女性年齢34.4歳)、レトロゾール周期採卵新鮮胚移植群511名(女性年齢32.6歳)での比較検討です。採卵はLHサージが出ていない場合は34-36時間後採卵、血清LH 10–20 mIU/mLの場合は30時間後採卵とし、ICSIは4時間後に実施しています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 低刺激排卵誘発法

# 卵巣刺激

# 初期胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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