体外受精

2025.03.26

DOR女性の自然周期採卵における適正卵胞サイズ(J Ovarian Res. 2023)

はじめに

自然周期採卵を行う多くの患者は、卵巣予備能低下(DOR)を背景としています。このような患者では、従来の正常卵巣機能を有する若年女性と同じ採卵タイミングが当てはまらない可能性があります。
今回、38歳前後・AMH 0.2 ng/mL前後のDOR女性における卵胞サイズ別の生殖予後を検討した研究をご紹介します。

ポイント

DOR女性では、12-15mmといった小さな卵胞でも、生殖成績は通常サイズ(16mm以上)と同等であり、個別化されたトリガータイミングの重要性が示唆されます。

引用文献

Tian Tian, et al. J Ovarian Res. 2023 Sep 20;16(1):195. doi: 10.1186/s13048-023-01281-4.

論文内容

対象:2015~2021年に中国の生殖医療センターで自然周期採卵を行った477周期
卵胞サイズ3群:
– A群:12–15mm(n=68)
– B群:16–17mm(n=171)
– C群:≥18mm(n=236)
方法:超音波+ホルモンモニタリングでLHサージも評価、トリガーは主に16-18mmまたは早期サージで12-15mmでも実施

結果

– 2PN受精率は16-17mm群が最も高(75.5%)
– 胚到達率や妊娠・出生率に3群間で有意差なし
– 12-15mmでも胚到達率・胚発生率は良好

私見

DOR女性ではトリガーサイズにこだわりすぎず、早期LHサージ等を考慮した個別化対応が重要です。
胚発生率や出生率は12-15mmと≥18mmで大きな差は見られず、12-15mm卵胞でも十分臨床的価値があります。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 採卵

# 低刺激排卵誘発法

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

この記事をシェアする

あわせて読みたい記事

採卵周期のゴナドトロピン種類とFET累積出生率(J Assist Reprod Genet. 2026)

2026.08.28

体重・BMI・体脂肪率はfollitropin alfa固定投与時の血清FSH動態・採卵成績との関連(日本受精着床学会雑誌 2025)

2026.08.27

ART周期におけるフォリトロピンデルタ・アルファ・hMGの有効性比較(Reprod Med Biol. 2026)

2026.08.24

高齢不妊女性のIVFにおけるGnRHアンタゴニスト法とPPOS法の比較(Front Endocrinol. 2026)

2026.08.04

PPOS vs. GnRHアンタゴニスト法 臨床アウトカムと単一細胞解析からの検証(Reprod Biomed Online. 2025)

2026.08.03

体外受精の人気記事

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

2025.09.01

凍結融解胚盤胞移植後7-11日目の血清hCG値出生予測(F S Rep. 2025)

2026.01.23

SEET法は凍結融解胚移植の成績を悪化させる可能性あり?(Sci Rep. 2025)

2026.03.30

45歳以上の体外受精は生児を授かる治療としては「無益」・・・(Fertil Steril. 2022)

2022.06.24

高年齢の不妊治療で注目されるPGT-A(2025年日本の細則改訂について)

2025.11.10

ART不成功におけるタクロリムス治療(J Reprod Immunol. 2026)

2026.02.27

今月の人気記事

胎児心拍が確認できてからの流産率は? 

2021.09.13

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

2025.09.01

我が国の統計からの興味深い情報のご紹介~男性は何歳まで子供を作ることができるのか~

2023.06.03

腟潤滑ゼリーは妊娠率に影響する?

2022.01.24

凍結融解胚盤胞移植後7-11日目の血清hCG値出生予測(F S Rep. 2025)

2026.01.23

妊娠できるカップルはほぼ6ヶ月以内に妊娠する。(論文紹介)

2021.11.11