はじめに
卵巣予備能が低下した女性において、限られた卵子から最大限の妊娠成績を得るためには、個別化された刺激法や補助的治療(アドオン)が検討されます。本研究は、POSEIDON基準に基づいて定義されたDOR女性を対象とした補助的治療に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果を報告しています。
ポイント
テストステロン補充療法は、DOR女性の生児出生率を改善する可能性があり、さらなる検証が必要とされています。
引用文献
Conforti A, et al. Fertil Steril. 2025. doi:10.1016/j.fertnstert.2024.09.038
論文内容
本研究は、POSEIDON基準に基づくDOR女性を対象とした補助的治療に関する38件のRCTを解析したメタアナリシスです。MEDLINE、EMBASE、ISI Web of Knowledgeを用い、2024年6月までに報告された文献から選定されました。
評価対象はDHEA、テストステロン、高用量vs低用量ゴナドトロピン、遅延開始プロトコル、レトロゾール、クロミフェン、成長ホルモン、黄体期刺激、二重トリガー、二重刺激、黄体形成ホルモン、エストラジオール前処理、コリフォリトロピンアルファなどです。
テストステロン補充療法は、非補充群と比較して生児出生率を有意に改善していました(OR 2.19, 95%CI: 1.11–4.32)。また、テストステロン、DHEA、遅延開始プロトコルは採卵数を改善することが示されました。一方で、その他の介入は妊娠率や出生率への明確な影響を示しませんでした。
私見
DHEAや高用量刺激などは採卵数増加に寄与する一方、成績改善にはつながらない点が本レビューで明確になりました。「量より質」を裏付ける結果とも解釈できます。テストステロン療法は今後の有力な手段の一つですが、使用には慎重な適応判断が求められると考えます。
文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。