はじめに
排卵周期下凍結融解胚移植を行うときに、どの時期がベストだろう?と悩むことが多くあります。胚盤胞が着床する時期はピンポイントではなく、数十時間の幅があるとされています。今回ご紹介する報告は、LHサージから移植タイミング別の妊娠率を比較し胚受容期を検討した論文です。
ポイント
排卵周期の凍結融解胚移植は、LHサージ≧20 IU/Lであれば最初のサージから6〜7日後に移植しても妊娠率は変化しません。患者様の受診スケジュールを柔軟に対応することが可能そうです。最近エビデンスがアップデートされていますので、適宜症例ごとに対応が好ましそうです。
引用文献
Chantal B Bartels, et al. Reprod Biomed Online. 2019. DOI: 10.1016/j.rbmo.2019.04.003
論文内容
2013年1月から2017年9月まで大学附属生殖医療施設にて非着床前診断胚盤胞を用いた凍結融解胚移植242症例を対象としたレトロスペクティブコホート研究です。
各周期は、LHサージ≧20 IU/Lに関連する胚移植のタイミングによって分類しました。グループ1:LH≧20 IU/Lが1回(翌日測定なし、もしくはサージ陰性)、その6日後胚盤胞移植、グループ2:LH≧20 IU/Lの翌日も再度サージ陽性、初回サージの6日後胚盤胞移植、グループ3:LH≧20 IU/Lを2日連続で行い、初回サージの7日後胚盤胞移植と分類しました。主要評価項目は継続妊娠率、副次評価項目は、胚移植6日前の血清E2濃度およびP濃度を継続妊娠率の比較としました。
結果
継続妊娠率は3群ともほぼ同じであった(1群66.8%、2群65.0%、3群62.9%、p=0.826)。6日目のE2濃度およびP濃度により層別化しても差は認めませんでした(それぞれ、p=0.403、p=0.610)。
今回の研究は平均女性年齢34歳前後、平均1.3個の胚盤胞を移植しています。
胚移植の3〜4日前に黄体補充を腟剤にて開始していますが、一部患者では注射製剤を用いています。胚移植6日前の血清E2濃度およびP濃度は、E2値は増加(前日から10%以上上昇)とプラトー/減少で、P値はP≧1 ng/mlまたは<1 ng/mlでグループ分けしました。
| Group1+(n=76) | Group2(n=60) | Group3(n=70) | |
| 着床率 | 0.71 | 0.66 | 0.61 |
| 臨床妊娠率 | 77.3% | 71.7% | 67.1% |
| 継続妊娠率 | 64.0% | 65% | 62.9% |
私見
この結果をみると比較的柔軟に胚移植日は決定できる印象ですね。ただ、有意差はありませんが、迷ったら排卵後遅くより早めに移植した方がよいような印象です。
<関連コラム>
- 黄体補充を行わない排卵周期下凍結融解胚移植成績は?(Arch Gynecol Obstet. 2022)
(排卵周期のERA検査データ記載あり) - 排卵周期凍結融解胚移植のhCGの投与時期(J Assist Reprod Genet. 2020)
- 排卵周期凍結融解胚移植の適切な移植時期は?( J Assist Reprod Genet. 2021)
文責:川井清考(WFC group CEO)
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