【はじめに】
排卵周期凍結融解胚移植はhCG+7(160時間前後)、もしくはLH+6のタイミングでの胚盤胞移植が成績がよいこと、黄体補充は行ったほうが良いことは間違いなさそうです。
- 排卵周期凍結融解胚移植のhCGの投与時期(J Assist Reprod Genet. 2020)
- 排卵周期凍結融解胚移植の適切な移植時期は?( J Assist Reprod Genet. 2021)
- 排卵周期凍結融解胚移植に黄体補充は有効?( Hum Reprod Update. 2021)
- 排卵周期凍結融解胚移植の黄体補充は成績に寄与する?(Hum Reprod. 2022)
- 排卵周期凍結融解胚移植は黄体補充が効果的?(Fertil Steril. 2022)
- 黄体化未破裂卵胞(LUF)になると排卵周期凍結融解胚移植の成績は落ちる?( Front Endocrinol (Lausanne). 2021.)
- 黄体補充を行わない排卵周期下凍結融解胚移植成績は?(Arch Gynecol Obstet. 2022)
- 排卵周期凍結融解胚移植はトリガー後160時間前後がベスト(Hum Reprod. 2022)
今回、ご紹介する論文はhCGトリガー後24時間の排卵前と思われる時期に黄体補充を行って凍結融解胚盤胞移植をしても成績が落ちないかどうかを調査した報告です。
ポイント
hCG投与後6日後/7日後の凍結融解胚盤胞移植の成績は変わらないことがわかりました。
引用文献
Wen-Jing Jiang, et al. Heliyon. 2023 Jan 24;9(2):e13218. doi: 10.1016/j.heliyon.2023.e13218.
論文内容
修正排卵周期凍結融解胚移植において、hCGトリガー24時間/48時間後の黄体補充後の胚移植は着床に影響を与えるかどうかを調べることを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。2019年1月から2021年8月に生殖医療施設で実施された756周期の修正排卵周期凍結融解胚移植を対象とし、主要評価項目を出生率としました。42歳以下の女性を対象とし、hCGトリガー24時間後の黄体補充群182症例とhCGトリガー48時間後の黄体補充群574症例を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて比較検討しました。
結果
患者背景はハッチング(24時間群53.8%、48時間群42.3%、p=0.007)を除き、2つの群間で差はありませんでした。24時間群では182周期中56周期(30.8%)、48時間群では574周期中179周期(31.2%)で出生に至り、群間に差は認めませんでした(aOR 0.98、95%CI 0.67-1.43、p=0.913)。
私見
このプロトコールは主席卵胞径が17mm以上、子宮内膜の厚さが7mm以上、P4が1.5ng/ml未満、E2が150pg/ml以上の場合、午前9時頃にhCGトリガーを実施しています。Limitationでも書かれていますが、単一生殖医療施設でのデータなのでhCGトリガーのタイミングなど施設によって異なるため、自施設でのデータでも確認が必要だと思います。ただ、サブグループ解析で、トリガー時P4 1.0ng/ml cutoffで差が認められていませんので、排卵前P4の軽度上昇は凍結融解胚移植成績にはあまり大きなインパクトはないのだなと感じています。
customizable mNC-FET methodsとは、よい呼び方だなと思います。メジャーになってくる造語はなんでしょうね。
文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。