体外受精

2024.05.22

フォリトロピンデルタ個別化アルゴリズムと卵巣刺激法の相性(Hum Reprod. 2024)

はじめに

フォリトロピンデルタ個別化アルゴリズムにおいて、GnRHアゴニスト法(ロング法)とGnRHアンタゴニスト法で卵巣反応結果に差がでるかどうか調査した報告をご紹介いたします。 

ポイント

BEYOND trialデータは、AMH≦35pmol/lであり、OHSSリスクが高くない女性において、GnRHアゴニスト法(ロング法)がGnRHアンタゴニスト法より有効そうです。 

引用文献

Rita Lobo, et al. Hum Reprod. 2024 May 9:deae092.  doi: 10.1093/humrep/deae092. 

論文内容

初回体外受精周期女性においてGnRHアゴニスト法(ロング法)とGnRHアンタゴニスト法のFSH製剤をフォリトロピンデルタによる個別化アルゴリズムを用いた場合の有効性および安全性を検討する無作為化対照非盲検多施設共同試験です。 
437名の参加女性が無作為に割り付けられました。主要評価項目は回収卵子数、副次評価項目は、妊娠継続率、薬物有害反応(OHSSを含む)、出生児数、新生児転帰などとしました。 
オーストリア、デンマーク、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、スイスの生殖医療施設に参加者(18~40歳、AMH 35pmol/l以下)を登録しました。 

結果

437名のうち、221名がGnRHアゴニスト法に、216名がGnRHアンタゴニスト法にランダム化されました。平均年齢は32.3±4.3歳、平均血清AMH値は16.6±7.8pmol/lでした。そのうち、202名と204名の参加者が、アゴニスト群とアンタゴニスト群でそれぞれフォリトロピンデルタによる卵巣刺激を開始しました。平均回収卵子数はアゴニスト群(11.1±5.9個) vs. アンタゴニスト群(9.6±5.5個)で差があり、推定平均差は1.31個(95%CI:0.22;2.40、P = 0.0185)でした。回収卵子数の差は、患者年齢と卵巣予備能に影響され、35歳未満の患者と卵巣予備能の高い患者(AMH>15pmol/l)でより大きな差が観察されました。アゴニスト群、アンタゴニスト群ともに、採卵キャンセル率(2.0%[4/202] vs. 3.4%[7/204])、新鮮胚盤胞移植キャンセル率(13.4%[27/202] vs. 14.7%[30/204])は同程度でした。開始周期あたりの推定妊娠継続率はGnRHアゴニスト群で高くなりました(36.9% vs. 29.1%;差:7.74%[95%CI:-1.49;16.97、P = 0.1002])。最も多く報告された有害事象(いずれの群でも1%以上;頭痛、OHSS、悪心、骨盤痛、または不快感、腹痛)は両群で同様でした。早期の中等度/重度のOHSSの発生率はアゴニスト群1.5%、アンタゴニスト群2.5%でした。開始周期あたりの推定出生率は、GnRHアゴニスト群で35.8%、アンタゴニスト群で28.7%でした(治療差7.15%;95%CI:-2.02;16.31;P = 0.1265)。 

私見

フォリトロピンデルタは、フォリトロピンアルファ・ベータと薬剤特性がやや異なるため、fixed GnRHアンタゴニストとの相性は難しいと感じています。 
今回も試験も卵巣刺激日数は有意差がないものの、刺激日数アゴニスト群10.4 ±1.9日、アンタゴニスト群8.8 ±1.8日となっています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# GnRHアンタゴニスト

# 卵巣刺激

# ロング法、ショート法

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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