はじめに
「不育症管理に関する提言2025」では不育症検査を①推奨検査、②選択的検査、③研究的検査の3群に分けています。
免疫因子を抽出する検査は現在のところ、③研究的検査に属します。
研究的検査として、抗リン脂質抗体であるネオ・セルフ抗体(抗β2GPI/HLA-DR抗体)、免疫学的検査である末梢血:NK活性、NK細胞率、制御性T細胞率、子宮内膜:CD56bright NK細胞率、CD56dim NK細胞率、KIR陽性率、制御性T細胞などが挙げられます。
子宮内膜CD56bright NK細胞検査を聖路加SRLで実施することができます。NKp46はNCRであり、NK細胞の活性化レセプターとして働きます。NKp46は、NK細胞の細胞傷害活性とサイトカイン産生に関与しているとされています。過去にもブログで取り上げています。
ポイント
子宮内膜NK細胞におけるNKp46発現の低下は、NK細胞制御異常の存在を示唆しています。
引用文献
Atsushi Fukui, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2017 Nov;43(11):1678-1686. doi: 10.1111/jog.13448.
論文内容
反復流産女性の子宮内膜NK細胞におけるNCR(NKp46、NKp44、NKp30)の発現とサイトカイン産生を調べること、反復流産既往の有無にかかわらず、妊娠中の末梢血NK細胞におけるNCR発現について調べることを目的とした研究です。子宮内膜NK細胞(CD56dim細胞とCD56bright細胞)におけるNCR(NKp46、NKp44、NKp30)発現をフローサイトメトリーにて解析しました。サイトカイン(TNF-αおよびIFN-γ)産生も分析しました。反復流産女性28名、着床不全女性34名、対照群74名の分泌中期子宮内膜からNK細胞を採取しました。反復流産既往妊婦17名と既往のない妊婦91名の末梢血NK細胞におけるNCRの発現を解析しました。
結果
NKp46陽性NK細胞割合は、反復流産女性の子宮内膜および反復流産妊婦の初期・中期で有意に低くなりました。TNF-αおよびIFN-γ産生子宮内膜NK細胞割合は、対照群と比較して反復流産女性で有意に低くなりました。
私見
子宮内膜NKp46発現は、CD56brightとCD56dimの両方のNK細胞におけるサイトカイン産生と関連していること、NKp46強度(NKp46bright NK細胞>NKp46dim NK細胞)はNK細胞によるサイトカイン産生、特にIFN-γ産生と関連していること、NK細胞サブタイプの中では、CD56bright/NKp46bright NK細胞が最も多くのIFN-γを産生することが今回の研究で分かっています。
今回の結果を見ても反復着床不全と反復流産はNKp46陽性NK細胞割合は同じように推移していますが、サイトカイン産生は反復流産患者のみ変化を認めていたので、子宮内膜の免疫機序は対峙・接着不全より浸潤後に影響が強いのでしょうか。 このマーカーの面白いところは、血中でも内膜同様相関が考えられる点です。
妊娠初期・中期で反復流産既往女性では、末梢血CD56bright/NKp46陽性NK細胞の発現が低かったことは、妊娠後の流産などの周産期合併症予知マーカーになり得る可能性を秘めています。
過去にもコラムでとりあげています。
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文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。