治療予後・その他

2024.07.05

生殖補助医療は胎盤遺残と関連(Fertil Steril. 2024)

はじめに

胎盤遺残(RPOC:retained products of conception)は、人工妊娠中絶や正常分娩後に子宮内に残った胎盤遺残物として定義され、正期産分娩の約1%を合併します。胎盤遺残と生殖補助医療の関連が指摘されており、今回、国内ARTレジストリにおける調査報告をご紹介いたします。 

ポイント

ホルモン調整周期凍結融解胚移植、補助孵化が国内ART登録では、胎盤遺残リスクとなっていました。 

引用文献

Seung Chik Jwa, et al. Fertil Steril. 2024 Mar;121(3):470-479. doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.11.028. 

論文紹介

生殖補助医療に関連する分娩後の胎盤遺残リスクを評価することを目的とした日本ARTレジストリを用いた後方視的コホート研究です。2007年から2017年の間に新鮮胚移植と凍結融解胚移植を行った369,608周期の単胎生児獲得の周期別データを日本ART登録から入手しました。 主要評価項目は分娩後の胎盤遺残リスクとしました。 結果: 132周期(0.04%)の分娩で胎盤遺残が認められました。これらのうち122件(92.4%)は凍結融解胚移植で発生していました。胎盤遺残を有する症例は、有さない症例に比べて経腟分娩が多くなっていました(78.0% vs. 61.1%)。また、癒着胎盤を合併している症例も多くありました(24.2% vs. 0.45%)。凍結融解胚移植実施患者において、胎盤遺残リスクと関連する因子は、胚のグレード、ホルモン調整周期、補助孵化でした。ホルモン調整周期は最大リスク因子であり(aOR 4.9;95%CI 2.0-12.4)、ホルモン調整周期凍結融解胚移植後の妊娠・分娩の0.05%(97,958周期中51件)に胎盤遺残がみられましたが、排卵周期凍結融解胚移植後の妊娠・分娩では0.01%(47,079周期中5件)にとどまりました。 サブグループ解析では、ホルモン調整周期と補助孵化は、PCOSと無排卵周期を除いた経腟分娩症例では胎盤遺残リスクとなりました。新鮮胚移植では、回収卵子数増加が胎盤遺残の唯一のリスクでした。 

私見

私たちも第2子ご希望で患者様が戻って来られた場合、大小は様々ですが、一定頻度では見かけることが多いです。絨毛は胚が内膜に対峙・接着、浸潤した後、子宮筋層内1/3まで侵入します。この過程に異常が生じると、癒着胎盤・胎盤位置異常なども生じるわけですので、胎盤遺残も一連で起こると考えるのは当然なのかもしれません。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胎盤異常

# ホルモン調整周期下胚移植

# 癒着胎盤

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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