体外受精

2024.08.14

PCOS患者こそ排卵周期凍結融解胚移植?(J Assist Reprod Genet. 2024)

はじめに

排卵障害があると凍結融解胚移植の際には、どうしてもホルモン補充周期の方が排卵周期に比べて、排卵障害のために卵巣刺激を考慮しなくてはならない点、受診回数が増える可能性、胚移植日が直前まで定まらない可能性などから選択されやすい傾向にあります。では、生殖予後の観点からPCOS患者の凍結融解胚移植における内膜作成方法により差があるかどうかを調査したメタアナリシスをご紹介いたします。 

ポイント

PCOS患者の凍結融解胚移植はホルモン補充より排卵周期がよいかもしれません。[文字列の折り返しの区切り]体外受精前に、排卵を確立しておいた方がよさそうですね。 

引用文件

Kathryn A Voss, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Jul 30.  doi: 10.1007/s10815-024-03209-3. 

論文内容

PCOS女性において、凍結胚移植レジュメ種類(排卵周期かホルモン補充周期(HRT))が移植後の生殖予後に影響するかどうか調査したシステマティックレビュー、メタアナリシスです。 
PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ClinicalTrials.govにおけるすべての研究を、MeSH用語とキーワードを組み合わせて検索しました。評価項目は生児出生率、HDP発症率、臨床的妊娠率、異所性妊娠率、流産率の相対リスクとしました。

結果

11件の研究を対象に実施しました。排卵周期凍結融解胚移植はHRT周期凍結融解胚移植と比較して以下の特徴がありました。 

生児出生率:高い(8研究、RR 1.14 [95%CI 1.08, 1.21])[文字列の折り返しの区切り]流産率:低い(9研究、RR 0.67[95%CI 0.59-0.76])[文字列の折り返しの区切り]HDPリスク:差なし(3研究RR 0.78[95%CI 0.53, 1.15])[文字列の折り返しの区切り]臨床的妊娠:差なし(10研究、RR 1.05[95% CI 0.99, 1.11])[文字列の折り返しの区切り]異所性妊娠:差なし(7研究、RR 1.40[95% CI 0.84, 2.33]) 

私見

PCOS患者の排卵誘発には、hMG/rFSH製剤やレトロゾールが使われた研究が選択されていて、今回の検討にはクロミフェンを用いて主たる排卵誘発を実施した研究は含まれていなさそうです。 
やはり、生殖補助医療に入る前にPCOSの排卵確立方法を症例ごとに見つけておくことが、凍結融解胚移植のときには役立つかもしれませんね。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

# 排卵周期下胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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