体外受精

2024.11.12

PCOS女性へのGnRHa反復トリガー

はじめに

GnRHアンタゴニスト周期のGnRHaトリガーは、OHSSリスク軽減のためのHCG代替トリガーとして使われることが多いため、研究の多くがhigh responderもしくはPCOS女性で検討されています。PCOS女性でのGnRHa反復トリガーに対しての報告を2本ご紹介いたします。

ポイント

PCOS女性にGnRHaトリガーをする際、反復トリガーを行なっても成熟卵子数を不変もしくは微増にとどまりそうです。

論文紹介

①  Krishna Deepika, et al. J Hum Reprod Sci. 2017 Oct-Dec;10(4):271-280.  doi: 10.4103/jhrs.JHRS_102_17. 
②  Abbas Aflatoonian, et al. Int J Reprod Biomed. 2020 Jul 22;18(7):485-490.  doi: 10.18502/ijrm.v13i7.7363. 
 
①  PCOS女性に対して単一GnRHaトリガー群(0.2mg) 、反復GnRHaトリガー群(0.2mg→12時間後 0.1mg)にて臨床転機を125名(基準を満たした単一投与50周期、反復投与50周期)で比較検討したランダム化比較試験です。反復投与群では単一投与群と比較して成熟卵子数、胚盤胞数が多くなりました。患者あたりの臨床的妊娠のオッズは反復投与群で高くなりました。(インド) 
 
②  COS女性に対して単一GnRHaトリガー群(0.2mg) 、反復GnRHaトリガー群(0.2mg→12時間後 0.1mg)にて臨床転機を120名(基準を満たした単一投与41周期、反復投与49周期)で比較検討したランダム化比較試験です。成熟率(p = 0.89)、MI(p = 0.38)、MII(p = 0.89)、GV卵子(p = 0.38)は統計学的な差はありませんでした。(イラン) 

私見

PCOS女性に対する反復GnRHaトリガーは成績が変わらない、もしくは改善するというのが結論となっています。②の報告は初回トリガー後12時間後、2回目トリガーのタイミング、採卵直前とLHを測定して差がありませんでした。 
 つまり、血清LHがしっかり作用すれば臨床転機が変わらないことが推察されます。トリガー後12時間でLH 50IU/L前後あれば適切に成熟卵子が採れる値なのかもしれません。LHサージの高さ、持続時間をイメージしたトリガーを意識する必要があるのかもしれません。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

# 卵巣刺激

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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