治療予後・その他

2024.12.18

自己卵子体外受精と提供卵子体外受精の周産期予後の比較(Fertil Steril. 2024)

はじめに

国内でも卵子提供による体外受精が増えています。適切な情報提供をするうえでブログなどでも徐々にとりあげるようにしています。

卵子提供を受けた45歳以上女性の妊娠転機(Reprod Biomed Online 2024)

卵子提供での生児獲得率に影響を与える因子(Fertil Steril. 2022.)

父親年齢は出生率に影響をするかどうか。(Fertil Steril. 2021)

今回は早産、在胎週数と比べて小さい児(SGA)、在胎週数と比べて大きい児(LGA)、低出生体重児が卵子提供で増えるかどうか調査した同胞研究をご紹介します。

ポイント

ドナー卵子での体外受精では早産、SGA児、低出生体重児リスク上昇は認められず、LGA児リスクが高まることが同胞研究により明らかになりました。
ただし、早産、低出生体重児リスクが高まるとする報告も多くあるため、今後も注意して報告を観察していく必要があります。

引用文献

Shalev-Ram H, et al. Fertil Steril. 2024. doi:10.1016/j.fertnstert.2024.12.012

論文内容

同一女性の自然妊娠と、その後のIVF(自己卵子または提供卵子)による妊娠の周産期予後を比較した後方視的コホート研究です。2000年から2018年までの全国医療機関の電子カルテデータを用いて検証しました。コホートAでは、2回の体外受精による妊娠を経験した女性と、1回の自然妊娠後に体外受精による妊娠を経験した女性を比較し、コホートBでは、2回の自然妊娠を経験した女性と、1回の自然妊娠後に卵子提供による妊娠を経験した女性を比較しました。
評価項目として、在胎週数と比べて小さい児(SGA)や37週未満の早産(PTB)、低出生体重児(LBW)、超低出生体重児(VLBW)、在胎週数と比べて大きい児(LGA)としました。

○コホートA(自然妊娠vs.自己卵体外受精, 各1,080名):
自己卵-体外受精群で有意に早産率が高く(12% vs. 3.5%, p=0.001)、SGA児(small for gestational age)が多く(5.4% vs. 3.4%, p=0.048)、出生時体重も低値となりました(3095g vs. 3309g, p=0.001)。

○コホートB(自然妊娠vs.提供卵IVF, 各94名):
早産率(p=0.520)やSGA児(p=0.320)に差はありませんでした。LGA児(large for gestational age)が提供卵-体外受精群で多くなりました(24% vs. 16.5%, p=0.02)。

私見

提供卵子での報告では今回の結論と同じように早産、SGA、低出生体重児などに差がないという報告もあれば、2017年のメタアナリシスでは早産リスク、低出生体重児リスク増加を認めるとしています(Storgaard M, et al.BJOG. 2017;124(4):561-572. doi:10.1111/1471-0528.14257.)。他の周産期合併症も提供卵子体外受精では上がる可能性があるため、適切な情報提供が必要ですね。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 周産期合併症

# 出生児予後

# ドナー・サロゲート

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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