体外受精

2025.03.04

低反応患者における新鮮胚移植vs凍結融解胚移植の比較(BMJ 2025)

はじめに

調節卵巣刺激における低反応患者の胚移植方法は、新鮮胚・全胚凍結戦略の決着がついていません。国内では胚移植の大半が凍結融解胚移植となっていて、新鮮胚移植の良い適応について議論がなされています。中国からの若年・低反応患者の新鮮胚移植 vs 凍結融解胚移植RCTが報告されましたのでご紹介いたします。

ポイント

低反応患者において、全胚凍結戦略は新鮮胚移植と比較して出生率が低く、fresh embryo transfer が望ましい選択肢となる可能性があります。

引用文献

Daimin Wei, et al. BMJ. 2025 Jan 29;388:e081474. doi: 10.1136/bmj-2024-081474.

論文内容

体外受精における卵巣刺激低反応患者において、全胚凍結戦略が新鮮胚移植と比較して出生率を向上させるかどうか検証した報告です。中国9生殖医療施設で実施された多施設ランダム化比較試験です。採卵数が9個以下または卵巣予備能が低い(AFC<5またはAMH<8.6 pmol/L)であった838名を対象としました。

結果

ITT解析において、凍結融解胚移植群の出生率は新鮮胚移植群と比較して低値でした(32% vs. 40%; RR 0.79; 95%CI 0.65–0.94; P=0.009)。臨床的妊娠率も凍結融解胚移植群で低く(39% vs. 47%; RR 0.83; 95%CI 0.71–0.97)、ランダム化後1年以内の累積出生率も凍結融解胚移植群で低値でした(44% vs. 51%、RR 0.86; 95%CI 0.75–0.99)。出生体重、周産期合併症、新生児合併症には差が認められませんでした。

私見

新鮮胚移植群が凍結融解胚移植群より成績がよいのは、最近の報告では珍しい結果かなと思っています。何個かポイントがあると思っていて、若年(31歳前後)であること、回収卵子数6個前後であり内膜への影響が少ないこと、採卵当日より黄体補充を開始していること(Crinone 90mg/日 + Duphaston 10mg×2回/日)などが関与している可能性があります。
低反応患者では凍結融解胚移植群が有利という成績と相反する結果でしたので、今後も注視していきたい結論だと思っています(Berkkanoglu M, et al. 2017、Roque M, et al. 2018、Xue Y, et al. 2018)。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当ブログ内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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