体外受精

2021.07.01

卵巣刺激後は全胚凍結か新鮮胚移植かどちらを選ぶべきなの(その1)

はじめに

全胚凍結(フリーズオール)は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を予防するために導入されました。ガラス化法などの凍結技術の改良により、⑴採卵決定時のプロゲステロン値上昇により新鮮胚移植の妊娠率低下が予想される群、⑵着床前検査症例、⑶卵巣予備能が低下している患者の受精胚プールなど、様々な理由で治療に組み込まれるようになりました。 
施設によっては全胚凍結を大前提であったり、新鮮胚移植をまずは考えたり様々だと思います。選択的に全胚凍結する施設が徐々に増加している傾向にあります。 
新鮮胚移植が否定されているわけではありません。 

ポイント

生殖医療ガイドライン2025では、OHSSリスクが低く、内膜菲薄化や採卵決定時のプロゲステロン上昇を認めない場合は新鮮胚移植が許容され、high responderでは出生率上昇の可能性から凍結融解胚移植が推奨されています。 

引用文献

生殖医療ガイドライン2025 CQ15、CQ17 

まとめ

生殖医療ガイドライン2025では下記のように記載されています。 
CQ15 新鮮胚移植が推奨される条件は? 

  • OHSSリスクが低く、内膜菲薄化、採卵決定時のプロゲステロン(P₄)上昇を認めない場合はtime to pregnancyを優先した新鮮胚移植が許容される(C) 
  • high responderにゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト(-a)周期を使用する場合は、OHSSのリスクを減らすためにゴナドトロピン用量を減らすなどの注意が必要である(A) 
  • GnRHアンタゴニスト周期では、OHSS予防にGnRH-aによる卵成熟誘起が有効である(A) 

CQ17 凍結融解胚移植は新鮮胚移植と比較して推奨されるか? 

  • high responderに対する初回の融解胚移植は新鮮胚移植に比べ、出生率上昇の可能性がある(B) 
  • 凍結融解胚移植が胎児の発育や母体の妊娠合併症の発症率に影響を及ぼす可能性が指摘されている(B) 
  • freeze-all法は、本法の実施が有益であると考えられる症例に対して実施する(A) 

私見

当院では、新鮮胚移植の提案は致しますが、最終的には当院の成績をみて決めていただくようにしています。ただし、下記の患者様には全胚凍結ありきではなしている気がいたします。 
①OHSSリスクが高い患者様 ②新鮮胚移植の着床率の低下が考えられる患者様(トリガー時のP4上昇、菲薄な子宮内膜など) ③異所性妊娠歴や早産歴がある患者様 ④貯胚の必要があると判断した患者様 ⑤着床前診断の適応がある患者様

治療実績はこちらを参考にしてください。 
https://wfc-mom.jp/result/ivf2024/

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# OHSS

# 新鮮胚移植

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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