体外受精

2024.03.05

子宮内膜厚に関わらずPRP療法は着床率に効果的(Reprod Med Biol. 2024)

はじめに

子宮内膜菲薄化を対象に始まったPRP子宮内注入療法ですが、最近では反復着床不全患者でも治療選択肢として提示されるようになってきています。
国内単一施設で子宮内膜厚が薄い、または子宮内膜厚が正常であるにも関わらず、着床不全を繰り返す女性を対象としたPRP子宮内注入療法の有効性を示した報告をご紹介いたします。 

ポイント

子宮内膜の厚み関係なくPRP子宮内注入療法は反復着床不全患者に有効性を示す可能性があります。 

引用文献

Shunsaku Fujii, et al. Reprod Med Biol. 2024. doi: 10.1002/rmb2.12565 

論文内容

子宮内膜厚が薄い、または子宮内膜厚が正常であるにも関わらず着床不全を繰り返す女性において、PRP子宮内注入療法が凍結融解胚移植の生殖成績に影響を与えるかどうかを検討した後方視的研究です。PRP子宮内注入療法による凍結融解胚移植転帰に影響を及ぼす因子を多変量ロジスティック回帰分析にて同定しました。患者に対して、子宮鏡で異常がないことを前提とし、ERA、EMMA、APS検査にて異常があった場合は補正を行っています。 

結果 

111名(子宮内膜厚が薄い70名、反復着床不全だが子宮内膜厚が正常である41名)の99周期を対象としました。PRP子宮内注入療法による凍結融解胚移植のβ-hCG陽性率46.7%、臨床妊娠率41.0%、出生率36.2%でした。PRP子宮内注入療法は、前周期より生殖医療転帰は改善し、子宮内膜厚も薄い患者では厚くなりました。多変量ロジスティック回帰分析により、反復着床不全回数がPRP子宮内注入療法による凍結融解胚移植転帰に影響を及ぼす因子として同定されました。過去に3回以上あった反復着床不全患者では、治療後の臨床妊娠・出生率が低くなりました。 

私見

PRP子宮内注入療法の有用性は無作為化比較試験でも評価されています。
Maged AM, et al. J Assist Reprod Genet. 2023; 40: 969–983.
Pandey D, et al. AJOG Glob Rep. 2023; 3(2):100172.
ただ、反復着床不全のESHREワーキンググループは、PRP子宮内注入療法の着床不全への有効性については現在のエビデンスは不十分であるとしています。
Cimadomo D, et al. Hum Reprod Open. 2023; 2023(3):hoad023. 

今回対象となった患者における過去の胚移植成績として着床不全91.1%(370/406)、生化学妊娠7.6%(31/406)、臨床妊娠後出生に至らず8.9%(36/406)となっています。本当の着床不全の対峙・接着をどの程度サポートするのか知ってみたいところです。
国内患者に対して、大きな症例数での成績はとても参考になります。
今後、内膜厚にかかわらず反復着床不全の治療選択肢として説明する時期がくるかもしれませんね。
過去の関連コラムも参考になさってください。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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