体外受精

2023.12.12

HRT周期の黄体補充は経口?経腟?注射?(Reprod Biomed Online. 2022)

はじめに

ホルモン調整周期の黄体補充は経腟プロゲステロンがメインになりますが、経口薬・注射との成績差がどうなのでしょうか。過去にもたくさんの比較試験はでていますが、この論文は比較的若年女性を対象としたものであること、通常の投与より全ての薬剤を多い投与量で設定した場合の比較となっていて着眼点が面白いRCTです。

ポイント

ホルモン調整周期の黄体補充は経口・経腟・注射とも、十分量投与すれば生殖医療成績に差がなさそうです。

引用文献

Emre Pabuccu, et al. Reprod Biomed Online. 2022 Dec;45(6):1145-1151. doi: 10.1016/j.rbmo.2022.06.027.

論文内容

ホルモン調整周期凍結融解胚盤胞移植1-2個151名に対して黄体補充を下記3群に割り付けたRCTです。

1. 経口群:ジドロゲステロン(DYD)、1日総投与量40mg(n=52)
2. 8%プロゲステロン腟ゲル(VAG)、1日総投与量180mg(n=55)
3. 筋肉内プロゲステロン注射(IMP)、1日総投与量100mg(n=44)

5日間のプロゲステロンサポートの後、1個または2個のガラス化加温胚盤胞を移植しました。

結果

患者背景や胚質は各群とも同様でした。継続妊娠率(DYD群40.4%、VAG群38.2%、IMP群45.5%、P = 0.76)および出生率(DYD群40.4%、VAG群38.2%、IMP群43.2%、P = 0.61)は差がありませんでした。生化学妊娠および流産率も差を認めませんでした。中等度から重度の副作用が起きる女性は、IMP群で他の群より有意に多い結果となりました(P < 0.001)。

私見

油性プロゲステロン注射薬は速やかに吸収され約2時間後に高い血清プロゲステロン濃度に達します。筋肉内注射は、疼痛、腫脹、感染、膿瘍、アレルギー反応などの副作用を伴うことがあるので、症例を選んで行なっていくことが重要だと考えます。

過去の関連コラムも参考になさってください

ホルモン調整周期凍結融解胚移植の黄体補充は腟剤+内服がよい(Hum Reprod. 2021)

プロゲステロン筋肉注射が腟剤より移植成績に奏功する(Fertil Steril. 2021) 

ホルモン調整周期凍結融解胚移植の移植日プロゲステロン値は治療成績に影響する?(Reprod Biomed Online. 2022) 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 総説、RCT、メタアナリシス

# 黄体補充

# ホルモン調整周期下胚移植

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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