体外受精

2024.08.06

内膜コンパクションの生殖予後に対するメタアナリシス(Hum Reprod Open. 2024)

はじめに

「子宮内膜厚は胚移植決定日から胚移植日までに薄くなっていると患者様が不安になるから、あまり薄く測るな。」と慣習的に学んできました。ただ、2019年Hassらによって内膜コンパクション(黄体ホルモン分泌もしくは投与後、内膜厚がやや減少すること)が観察されることがわかってきました。内膜コンパクションが生殖予後に影響する、しないには様々な意見があります。
内膜コンパクションの生殖予後に対するメタアナリシスが報告されましたのでご紹介いたします。 

ポイント

移植決定日から移植日までの内膜変化(コンパクション)は、あまり気にしなくてよさそうです。今回のメタアナリシスでは、内膜コンパクションは臨床的妊娠率および継続妊娠率の上昇と関連しましたが、出生率とは関連がありませんでした。 

引用文献

Hannan Al-Lamee, et al. Hum Reprod Open. 2024 Jun 20;2024(3):hoae040. doi: 10.1093/hropen/hoae040. 

論文内容

子宮内膜コンパクションは、体外受精実施女性の生殖予後に影響するかどうかを調査したメタアナリシスです。文献検索は、PubMed、Cochrane Library、MEDLINE、Embase、Science Direct、Scopus、Web of Scienceを用い、データベース開設から2023年5月までに独立した著者2名により実施されました。
主要評価項目は出生率としました。副次評価項目は、妊娠検査薬陽性、臨床的妊娠率、継続妊娠率、流産率としました。 

結果 

スクリーニングされた4,030件の報告のうち、21件のコホート研究を対象としました(n=27,857)。内膜コンパクションあり群と内膜コンパクションなし群における出生率に差は認めませんでした(OR 0.95;95%CI 0.87-1.04)。臨床的妊娠率は内膜コンパクションあり群で高く(OR 1.61;95%CI 1.09-2.38)、特に内膜コンパクション>15%は内膜コンパクションなし群と比較して高くなりました(OR 3.52;95%CI 2.36-5.23)。継続妊娠を妊娠12週未満としたとき、内膜コンパクションあり群は内膜コンパクションなし群に比べ継続妊娠率が高くなりました(OR 1.83;95%CI 1.15-2.92)。妊娠検査薬陽性(OR 1.54;95%CI 0.97-2.45)または流産率(OR 1.06;95%CI 0.92-1.56)については、内膜コンパクションあり群と内膜コンパクションなし群に差を認めませんでした。 

私見

排卵後プロゲステロンレベルの上昇により、子宮内膜増殖が停止し、子宮内膜腺の発達、免疫細胞の増殖、血管新生が増加するため、子宮内膜の密度は増加しますが、容積は増加しないために内膜コンパクションは起こると推測されています。
エストラジオール濃度やプロゲステロン濃度と内膜コンパクションとの相関はなさそうです。
まだまだ胚移植方法や内膜コンパクションの定義が様々なため、しっかりした結果となっていませんが、今後、質の高い研究が増えてきて方向性が定まっていくのかなと感じています。
過去にもコラムにて取り上げていますのでご参照ください。 

<関連コラム> 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胚移植(ET)

# 子宮内膜厚、形態

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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