治療予後・その他

2025.03.11

生殖医療分野outcomeにおける一貫性の必要性(Hum Reprod. 2025)

はじめに

不妊治療の研究において、妊娠や出産に関する結果の報告方法は非常に重要です。しかし、ランダム化比較試験において、明確で一貫性のある結果の定義がなければ、その解釈や後の証拠統合が複雑になります。最近10年間に発表された不妊治療のランダム化比較試験における妊娠結果の報告状況とその定義の一貫性について調査した報告をご紹介いたします。

ポイント

過去10年間の不妊研究において、live birthの報告は3分の1にとどまり、明確で一貫した定義の不足が多く、結果報告の標準化が必要です。

引用文献

Qian Feng, et al. Hum Reprod. 2025 Feb 21:deaf022. doi: 10.1093/humrep/deaf022.

論文内容

不妊治療の臨床試験において生殖医療結果がどれくらいの項目で報告されているか、それらの定義がどの程度一貫して報告されているかを調査することを目的としたシステマティックレビューです。
1,425件の不妊治療に関するランダム化比較試験を調査した結果、過去10年間に発表された不妊治療試験のうち約3分の1(34.0%)がlive birthを報告しており、clinical pregnancy、ongoing pregnancy、live birthの3つを同時に報告していたのは8分の1(12.2%)のみでした。定義が不明確であったり、異質性があったりするケースも多く見られました。
Live birthを報告する試験の割合は2012年23.1%から2023年33.7%へと増加しています。Biochemical pregnancyやclinical pregnancyまでしか報告しない試験は、未登録、小規模、単施設であることが多く、上位雑誌に掲載される頻度も低いことがわかりました。
Biochemical pregnancy、clinical pregnancy、ongoing pregnancy、live birthの定義は、これらの結果を報告した論文のそれぞれ68.5%(287/419)、64.5%(876/1359)、70.5%(285/404)、41.1%(199/484)で記載されていました。876件のclinical pregnancyの定義のうち、63.4%(555件)は妊娠確認のタイミングを特定していました。妊娠週数を報告した220件の定義(4~16週の範囲)のうち、最も一般的なカットオフは6週で、48.2%(106件)で使用されていました。ongoing pregnancyの定義については、285件の定義のうち96.1%(274件)に週単位の妊娠期間(6〜32週の範囲)が含まれており、12週が最も一般的なカットオフで、49.1%(140件)の定義で使用されていました。199件のlive birthの定義のうち、62.3%(124件)は妊娠期間のカットオフ(20〜37週の範囲)を使用しており、24週が最も一般的なカットオフで、28.6%(57件)の試験で使用されていました。

私見

不妊クリニックでは妊娠継続で転院してしまうので、やはり周産期センターも一体となった研究が国内でも組まれていくべきだと思います。カットオフ週数が違うのは国々によって死産などの定義週数が違ったりするのも課題です。
論文を読むときに、報告者らの執筆労力と発想に敬意を払いながらも、自身として咀嚼して解釈していく、臨床に当てはめていくことが必要だと感じています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当ブログ内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# エビデンス評価

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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