治療予後・その他

2023.02.02

妊娠時の妊娠黄体の有無が妊娠高血圧症候群と関連する(Hypertension. 2019)

はじめに

ホルモン調整周期凍結融解胚移植と卵子提供での胚移植は妊娠高血圧症候群リスクを高めます。血管作動性ホルモンを分泌する黄体を持たないことに起因するのではないかと考えられています。黄体の有無が母体循環状態を変化させ、妊娠高血圧症候群リスクとなるかどうかを調査した報告をご紹介いたします。

ポイント

妊娠時黄体がないと、母体循環動態が乱れ、妊娠高血圧症候群リスクが上昇します。

引用文献

Frauke von Versen-Höynck, et al. Hypertension. 2019 Mar;73(3):640-649. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.118.12043.

論文内容

黄体が0個(n=26)、1個(n=23)、2個以上(n=22)の女性について、妊娠前、妊娠中、妊娠後を連続的に評価した産科転帰の前向きコホート研究です。頸動脈-大腿動脈脈波伝播速度(carotid-femoral pulse wave velocity, cfPWV)と頸動脈-大腿動脈脈波伝播時間を評価しました。同時に自家卵による単胎生産の周産期転帰を、黄体数による群間比較(n=683)を行いました。

結果

予想される頸動脈大腿部脈波伝播速度の低下と頸動脈大腿部通過時間の上昇は、単一/複数黄体では妊娠7-9週から差を認め、妊娠10~12週で最も顕著となりました。黄体がない群は黄体1個の群と比較して、妊娠高血圧症候群(aOR, 2.73; 95% CI, 1.14-6.49)および重度の妊娠高血圧症候群(aOR, 6.45; 95% CI, 1.94-25.09)のリスク因子となりました。ホルモン調整周期凍結融解胚移植(黄体0個)は、修正自然排卵周期凍結融解胚移植(黄体1個)と比較して、妊娠高血圧症候群(12.8% vs. 3.9%; P=0.02)、重度の妊娠高血圧症候群(9.6% vs. 0.8%; P=0.002)と関連していました。

私見

体外受精における周産期合併症との関連を指摘する報告は、様々あります。ただし、妊娠しなければ始まらない部分もあり、患者様背景を意識しながら治療選択を行っていくことが重要だと感じています。

~関連コラム~

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 黄体補充

# 妊娠高血圧症候群

# ホルモン調整周期下胚移植

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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