体外受精

2023.06.29

片側卵巣女性のAMHと卵胞との関係は?(Hum Reprod. 2021)

はじめに

月経中のAFC(3-9/12mmの胞状卵胞数)から採卵決定時の16-22mmの発育卵胞数の比率をもって卵巣刺激反応性を評価する指標(Follicular Output RaTe:FORT)が以前より知られています。

Gallot V, et al. Hum Reprod 2012;27:1066–1072.
Genro VK, et al. Hum Reprod 2011;26:671–677.

この指標を用いて、通常卵巣予備能の場合、片方の卵巣しかない場合と両側卵巣ある場合で反応性が異なるかどうか比較した報告をご紹介いたします。

ポイント

卵巣刺激に対しての片側卵巣群と両側卵巣群の全体での反応性は変わりませんが、単一卵巣に限って考えると片側卵巣群の反応性が良いことがわかりました。

引用文献

M Grynberg, et al. Hum Reprod. 2023 Jun 1;38(6):1162-1167. doi: 10.1093/humrep/dead056.

論文内容

片側卵巣摘出患者において、FORT指標を用いてFSH製剤に対しての反応性を調査したレトロスペクティブコホート研究です。
22-43歳の344名の体外受精を実施する女性(PCOS、内膜症がないことが条件)を対象としました。片側卵巣摘出術または付属器摘出術により片側卵巣となった女性は86名(片側卵巣群;術後平均期間52(8-156)ヵ月)でした。女性年齢(±1歳)、卵巣刺激年、FSH開始用量(±50IU)を、両側卵巣がある女性(対照群258名)とマッチングし比較検討しました。
AMH、AFC(3-12mm)を月経3日目に、卵胞数は刺激前(ベースライン)と採卵決定日にカウントしました。外因性FSHに対する卵巣刺激反応性はFORT指標によって推定しました。

結果

患者背景では、女性年齢34歳前後で、total FSH 3000単位でのGnRHアンタゴニスト法での成績比較となります。AMHおよびAFC(1.0ng/mL(0.5-2.1) vs. 1.8 ng/mL(1.0-3.3)、P<0.005)、および(9.0個(6.0-17.0) vs. 13.0個(8.0-21.0)、P<0.001)は、片側卵巣群で低くなりました。卵巣刺激は両側卵巣群と片側卵巣群でFORTを比較したところ差がありませんでした(30.4%(15.6-50.0)vs. 32.5%(14.0-50.0))。興味深いことに、片側卵巣摘出女性と年齢をマッチさせた対照女性の同側卵巣とのFORTの比較では、AMHとAFCで調整した後、片側卵巣摘出後の方が有意に高い比率を示しました(32.5%(14.8-50.0) vs 25.0%(10.0-50.0)、それぞれP<0.002)。

私見

卵巣刺激反応性の評価には下記の3つが使われます。

FORT (follicular output rate):採卵決定時の発育卵胞数/AFC
FOI (follicle to oocyte index):回収卵子数/AFC
OSI (ovarian sensitivity index):回収卵子数/FSH使用量

今回の比較はFOIもOSIも全体でみると差がありませんでした。
どの卵巣反応指標を用いるかは研究デザインによりますね。

~関連コラム~

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 手術

# 胞状卵胞数(AFC)

# 卵巣刺激

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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