体外受精

2023.09.25

フォリトロピンアルファ、デルタの薬剤特性

はじめに

フォリトロピンアルファ(ゴナールエフ®)、フォリトロピンデルタ(レコベル®)の使い分けは単位が違うこともあり(ゴナールエフ:IU(国際単位)、レコベル:μg)、わかりにくいです。色々と文献をみた結果、フォリトロピンデルタは皮下投与後ゆっくりと吸収され、排泄がゆっくりであり蓄積効果が強い、これにつきそうです。単回皮下注投与AUC(mIU*h/mL)で比較したときは1μg≒25IU(※1)、回収卵子数(アンタゴニスト法)で比較した時には1μg≒15IU(※2)というのが過去の報告からわかっています。 

ポイント

フォリトロピンデルタは皮下投与後ゆっくり吸収され排泄も緩徐で蓄積効果が強い。単回投与のAUCで比較すると1μg≒25IU、回収卵子数で比較すると1μg≒15IUに相当。 

引用文献

(※1) Håkan Olsson, et al. J Clin Pharmacol. 2014 Nov;54(11):1299-307. doi: 10.1002/jcph.328.
(※2) Joan-Carles Arce, et al. Reprod Biomed Online. 2020 Oct;41(4):616-622. doi: 10.1016/j.rbmo.2020.07.006.
(※3) Feng Shao, et al. Clin Drug Investig. 2023 Jan;43(1):37-44. doi: 10.1007/s40261-022-01232-9.
(※4) Nazareth Loreti, et al. Mol Cell Endocrinol. 2013 Feb 5;366(1):68-80. doi: 10.1016/j.mce.2012.11.021. 

論文内容

フォリトロピンデルタ
tmax:23.0±7.7hr(27μg単回皮下注)(※1)
t1/2:48.5±30.4hr(27μg単回皮下注)(※1)
CL/F:0.3 L/h(※3)
フォリトロピンアルファ
tmax:19.3±8.3hr(450IU単回皮下注)(※1)
t1/2:34.5±7.7hr(450IU単回皮下注)(※1)
CL/F:0.74-0.77 L/h(※4) 

私見

フォリトロピンデルタは、皮下投与後ゆっくりと吸収され、排泄がゆっくりであり、蓄積効果が強いのであれば、クロミッド®を追加したらどうか?という疑問がでてきます。
クロミッド錠50mgは、新生児期のモルモットに0.15g/100g(体重)単回投与した時、Tmaxは3時間。組織への移行性については投与3時間後、卵巣及び下垂体で高く、副腎、肝臓及び子宮の順とされています。クロミッドを付加したhMGアンタゴニスト法を実施した際の臨床結果が改善するかどうかは議論がわかれていますが、フォリトロピンデルタでのデータはありません。今後検討する価値がありそうです。 

卵巣刺激反応不良の患者さまに対してクロミッド®を付加したHMGアンタゴニスト法を実施すると臨床結果が改善しますか(肯定派)( Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2020)
卵巣刺激反応不良の患者さまに対してクロミッド®を付加したHMGアンタゴニスト法を実施すると臨床結果が改善しますか。(不変派)( Hum Reprod. 2020)
ヒト由来リコンビナントFSH製剤による日本人女性の卵巣刺激調査(Fertil Steril. 2020)
レコベル®皮下注ペンの国内でのOHSSリスク評価(Reprod Biomed Online. 2021)
high responderに対するAMHと体重を基準とした個別化FSH投与の有効性と安全性(Reprod Biomed Online. 2021)
ロング法(レコベル®皮下注ペン)にrhCGを追加するとよい?( Hum Reprod. 2022)
レコベル®皮下注ペンのRCTにおける周産期予後(J Assist Reprod Genet. 2021)
rFSH製剤使用における日本人と白人の反応の違い(Reprod Biomed Online. 2022) 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# ゴナドトロピン

# 卵巣刺激

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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